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「インターネットは未来を変えるか? 〜科学技術がもたらす未来とは〜」
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司会:明治大学情報科学センター 阪井 和男
- 【司会】
- ただいまから、今回の合同分科会の最後のセッションであります文化講演を開催いたします。恒例の文化講演は今回、「インターネットは未来を変えるか」と題しまして、評論家の歌田明弘様から、「科学技術がもたらす未来とは」を副題にご講演をいただきます。
歌田明弘様の略歴ですが、1982年に東京大学文学部を卒業され、1982年から「現代思想」の編集部、そして1985年からは「ユリイカ」の編集長、1993年からは、フリーで、編集・執筆活動に携わっておられます。また現在、週刊アスキーで、インターネットを通して科学技術から政治経済までの最新の出来事を追いかける「仮想報道」をご連載され、非常に幅広いご活躍をされている方であります。
それでは、お願いいたします。
- 【歌田】
- ご紹介いただきました歌田です。ご紹介のとおり、私は文学部出身で、たぶん会場にいらっしゃる方とは、かなりバックグラウンドが違うのではないかと思います。
1.コンピュータとの関わり
もともと思想とか文学・アートの雑誌に携わってきて、コンピュータとはまったく無縁の生活をしておりました。マイナーな本や雑誌だったので、なかなか売れません。読者はかならずいると思うのですが、読者の手に届いていないように感じられる。1990年頃には、出版洪水がかなりひどくなってきて、本が書店にドッと配られるのですが、書店は並べておけないので、たちまち返品する。返品されるから、出版社はいよいよどんどん新しい本を出さなければならないし、読者は必要な本が見つからない。悪循環で、本が、文化を伝えるメディアというより、たんなる消耗品になっていく。本の情報をきちんと蓄積し、それを必要としている人のところに届けることができるシステムがあれば、もう少しどうにかなるのではないのかということを友人たちと話していました。
そのころ、一方ではパソコンが一般にも使われるようになってきて、これをそうしたことにも使えるのではないかと思い、コンピュータに興味を持ちはじめました。それを機に、コンピュータのことも調べ始め、とくにヴァニーヴァー・ブッシュという科学者に興味を持ちました。
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