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5.分散コンピューティング・プロジェクト
5.1.地球外生物電波探査
さて、そのように現実空間とサイバー空間が溶け合ってくると、コンピュータは技術的な存在であると同時に、いよいよ社会的なものになってくるわけで、社会とのリアクションが重要になります。この何年かインターネットであちこちのサイトを見てまわっているので、面白い動きをいくつかご紹介したいと思います。
コンピュータに関して、私はまったく末端のユーザで、たんにソフトを使っているだけですが、ウェブをあれこれ見ていても、peer-to-peer技術、あるいは分散コンピューティングのプロジェクトがどんどん出てきたことに気づきます。
私たち末端のユーザの中で一番インパクトがあったのは、SETI@home*1という地球外生物の電波探査のプロジェクトだと思います。これは日本語プロジェクトのサイトです。
SETIは、地球に届いている地球外電波を探査すれば地球外生命の存在を捉えられるのではないかということで始まっています。このプロジェクトの発足は意外に古くて、天文学者のフランク・ドレイクという人が1960年に始めて、昨年は40周年のお祝いをしていました。そして、急速に広がっていくインターネットと結びつけて何かできないかと考えた人がいて、SETI@homeというプロジェクトが始まりました。
プロジェクトに参加するのはとても簡単で、ただソフトをダウンロードして、インストールするだけです。そうすると、あとはスクリーンセーバとして動いて、仕事をしないときに自動的に動いてネットで受取ったデータを分析し、終わるとSETIの中央のサーバにそれを送りかえすといった実に簡単なシステムです。これが1999年に始まって評判になり、昨年の時点で250万人を超えていました。CPU時間にして何十万時間の仕事をしたというようなことがユーザ情報のところに書いてあります。
図1 SETI@homeスクリーンセーバ
図1はSETI@homeのスクリーンセーバです。このように視覚化されています。SETIのデータはプエルトリコのアレシボ天文台のもので、そのデータをひとり当たり0.25MBずつ受け取って分析しています。図1のスクリーンセーバにはCPUタイムで7時間32分39秒使われたと出ていますが、どのくらいの仕事をしたのか、あるいは、送られてきたデー
タのうちの何%が終わったかが視覚化されています。
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