JAISTでは研究・教育・事務処理等の活動において生成・利用されるデータを、情報科学センターが提供するストレージシステムで一元的に管理することにより、ユーザのストレージに対する管理コストを軽減するとともに、広帯域な学内ネットワーク環境と組み合わせることで、ユーザが学内のどこにいても自身の環境で作業を行えるロケーションフリーなサービスを実現している。
こうした教職員・学生・研究員をはじめとする大学構成員の日々の活動に対するストレージシステムのサービス適用範囲は多岐に渡る。例えば、教職員や学生のUnixワークステーション・Windowsターミナルサーバから共有されるホーム領域では、設定ファイルやドキュメント、メールデータ、マルチメディアファイルなど日々生成・利用されるデータのリード/ライトが頻繁に発生している。さらに、これらの重要なデータを保護するための定期的なバックアップも必須の機能となる。一方、表3-2に示すように、取り扱うデータの種類によっては、上記サービスとは性格の異なるストレージサービスが要求されることも少なくない。例えば、ある研究プロジェクトのテンポラリ領域として一時的に非常に大きなストレージ領域を提供するケースや、大規模計算機のワーク領域としてバックアップは行わないものの高速なライト性能が要求されるケース、ワークステーションやターミナルサーバのアプリケーション領域としてほぼリードのみの利用に対する高速性が要求されるケースなどが存在している。
このような状況の下で、センターがサービスするストレージ領域は年々、大容量・高性能・高信頼性が要求されるようになっている。しかしながら、すべての要件を同時に満たすストレージシステムを実現するコストは膨大なものであり、現実的ではない。このため、ユーザの利用目的に対して適切な容量・性能・信頼性を提供可能なサービスをいかに構成するかが重要な課題と言える。
データの種類 | ストレージサービスへの要求 | ||||
---|---|---|---|---|---|
容量 | 高速性 | 可用性 | 信頼性 | バックアップ | |
ホーム領域 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
テンポラリ領域 | ◎ | △/○ | ○ | △/○ | △/○ |
ワーク領域 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
アプリケーション領域 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
サーバ領域 | ◎ | ○ | ○/◎ | ○ | ◎ |
バックアップ領域 | ◎ | △ | △ | △ | - |
ログデータ領域 | ○ | △ | ○ | ○ | ○ |