システムは図3-3に示すように、ハワイ島マウナケア山頂、ハワイ観測所山麓施設、および三鷹本部の3拠点から構成されている。すばる望遠鏡は標高4,200mのマウナケア山頂に設置されている。すばる望遠鏡には現在7つの観測装置がある。観測装置によって取得された天体観測データは望遠鏡の指向方向や時刻などの情報を加えて、FITS規約に則ったフォーマットのファイルに即座に変換され、その管理情報がORACLEデータベースに登録される。同時に観測データの保全のためテープライブラリにバックアップを行う(データ@)。即ち、山頂システムのテープ媒体をオリジナルデータ(原本管理)としている。
さらに、これらの観測データは専用回線によって直ちに山麓施設に送られる。山麓システムにあるすばる観測データアーカイブシステム(STARS)は、受け取った観測データファイルのヘッダの内容やデータサイズなどの確認後、FITSヘッダから抽出した情報と管理情報をデータベースに登録する。また、後述するデータの整合性を保障するためにMD5(ここで算出したMD5値をMD5sと呼称、以下同じ)を算出・登録する(データA)。ハワイに居る研究者は直接STARSを通して観測データを検索し、データ要求を行う。STARSはヒットしたデータをクライアント側に転送する。この時、観測データの原本保証性を高めるため依頼のあったデータを読み込む際、再度MD5(MD5u)を算出し、MD5s=MD5uの場合のみユーザ側への転送を行うようにしている。なお、STARSを構成しているアーカイブシステムは現在、SFG連携の磁気テープライブラリSony Peta Site/Serveを採用している。