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3.データマネジメントの現状とストレージソリューションへの期待

3.1.データマネジメントの現状

3.1.2.天文台における天文観測データの管理の特徴

3.1.2.2.天文観測データの管理とその流れ

 システムは図3-3に示すように、ハワイ島マウナケア山頂、ハワイ観測所山麓施設、および三鷹本部の3拠点から構成されている。すばる望遠鏡は標高4,200mのマウナケア山頂に設置されている。すばる望遠鏡には現在7つの観測装置がある。観測装置によって取得された天体観測データは望遠鏡の指向方向や時刻などの情報を加えて、FITS規約に則ったフォーマットのファイルに即座に変換され、その管理情報がORACLEデータベースに登録される。同時に観測データの保全のためテープライブラリにバックアップを行う(データ@)。即ち、山頂システムのテープ媒体をオリジナルデータ(原本管理)としている。
 さらに、これらの観測データは専用回線によって直ちに山麓施設に送られる。山麓システムにあるすばる観測データアーカイブシステム(STARS)は、受け取った観測データファイルのヘッダの内容やデータサイズなどの確認後、FITSヘッダから抽出した情報と管理情報をデータベースに登録する。また、後述するデータの整合性を保障するためにMD5(ここで算出したMD5値をMD5sと呼称、以下同じ)を算出・登録する(データA)。ハワイに居る研究者は直接STARSを通して観測データを検索し、データ要求を行う。STARSはヒットしたデータをクライアント側に転送する。この時、観測データの原本保証性を高めるため依頼のあったデータを読み込む際、再度MD5(MD5u)を算出し、MD5s=MD5uの場合のみユーザ側への転送を行うようにしている。なお、STARSを構成しているアーカイブシステムは現在、SFG連携の磁気テープライブラリSony Peta Site/Serveを採用している。

図3-3:天文台 天文観測データシステム
図3-3:天文台 天文観測データシステム

 一方、日本に居る研究者は三鷹のMASTARSを介して容易にすばる望遠鏡で取得された観測データを検索できる。MASTARSもSTARSと同様にPeta Site/Serveから構成されている。STARS側に観測データの追加があると、その観測データは専用回線を通してハワイから三鷹へも転送される。三鷹に送られた観測データはSTARSと同様な仕組みでMASTARSに登録されると共に、ここでもMD5(MD5m)が算出されDBにその値が登録される(データB)。
 このように、すばる望遠鏡のデータアーカイブシステムは三つの独立したシステムがデータのバケツリレー方式で連携している。通常は山頂で観測データが取得されると数分後には三鷹のMASTARSからそのデータを取得することができるリアルタイム系を構成している。一方、通信回線の故障時にはそれぞれが独立したオフライン系として機能する設計となっている。

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