富士通の山本でございます。
3月11日の東日本大震災で、会員の皆さまにも被災された方がいらっしゃるとお聞きしております。被害に遭われた皆さま方に、心からお見舞い申し上げます。そのような中、通常総会が本日無事開かれました。幹事の皆さま方のご尽力に、厚く御礼申し上げたいと思います。また、会員の皆さまには日頃より富士通製品、あるいは富士通サービスをご愛顧賜りまして、高い席からではございますが、あらためて御礼を申し上げます。
さて、この3月11日の大震災で、富士通グループもかなりの工場で、具体的には東北にあります半導体工場など九つの工場が被災いたしました。これらの工場は、お陰様で約一か月経った4月半ばまでに、全部立ち上がることができました。パソコンやサーバの製造については、福島にある富士通アイソテックの工場が被災しました。従来ここでは、パソコンはデクストップを作っておりましたが、ノートブックを作っている島根富士通の工場に、一週間以内に一時的に移すことができました。これは日頃のBCP活動が効果を発揮したのではないかと思っております。
しかし、実はそれ以外のいろいろなところで、大きな教訓を得たものがあります。例えば、部品のサプライチェーンです。富士通の工場そのものは被災から回復したのですが、ものづくりという意味では、部品の供給等を含めて、まだまだ被害が出ております。さらに日本経済全体を見廻すと、特に自動車産業では、この10月までは従来の生産に戻れないという程の大きなダメージを受けおります。部品の調達について、一次だけでなく二次、三次の取引先を含め、グローバルで考え直す必要があると思っております。
いまこの復興の中で、日本の産業の価値ということについて、海外を含め、いろいろなところから言われていると思います。この日本の価値、これを守っていかなくてはいけないと思います。私は、テクノロジーが、やはりそのためのひとつのキーではないかと確信しています。そのような意味でも、このSS研の中でいろいろと研究されている内容というものが、必ず日本の将来に向けて役に立つ。そしてその結果、日本という国が世界の中で、再認識されることにつながるのではないかと思っております。
さて本日は、是非、皆さまにご報告したいことがございます。理化学研究所様と一緒に進めておりますスーパーコンピュータ「京」でございます。これも部品については、一部震災の影響が出ておりましたが、最優先で復旧を図り、いま現在では遅れはなくなっておりますので、必ずや皆さまのご期待に沿えるのではないかと思っております。さらに、皆さまのご推薦を賜りまして、この「京」で使われていますCPUが、日刊工業新聞社様の第40回日本産業技術大賞の名誉ある文部科学大臣賞をいただきました。これもSS研の皆さまのご指導、ご鞭撻をいただいた賜物でございます。あらためて感謝申し上げます。
日本の今後を考えたときに、この復興を目指す中で、やはり強い日本というものを再び作らなければいけないと思っております。先日もある国立大学の総長の方とお話をする機会がございました。私から「復興の中で、これから日本は世界に向けて、サスティナビリティをちゃんと保証していかなければならない」と申し上げましたところ、「山本さん、サスティナビリティなんて生易しいもんじゃないよ。いまはサバイバビリティだよ、日本は」と言われました。まさに生き残りをかけた戦いを日本はやっていかなければならない、そのくらい今回の震災が与える影響は大きいということだと思います。我々に続く次の世代のためにも、我々は日本を守り、そして強くしていかなければなりません。そのためにも是非、SS研の皆さまとともに、富士通も頑張ってまいりたいと思っておりますので、これからも是非、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。(拍手)