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まとめあいさつ

宇宙航空研究開発機構
岩宮 敏幸

 みなさま、合同分科会としては昨日、本日と活発な議論をしていただきありがとうございます。また、講演を快くお引き受けいただきました皆さまにも、厚く御礼申し上げます。
 今回のテーマは「イノベーション」ということで、いろいろな方面で、いろいろな形でイノベーションを起こしてきた方、また今後、起こしていこうという試みなどを中心に、講演及び討論会をやらせていただきました。基調講演では、トヨタのレクサスというイノベーションの紹介をトヨタ自動車の定方様にお願いしました。マーケットをよく見て、5年後10年後のあるべき姿を自分たちの軸にして、なおかつ、他のところとの差別化をして、きちんとした戦略性を持ち、ユーザの意見を取り上げながら、技術面で支えながら、二律背反ではなく、四律背反という、お互いにバッティングする部分も許しあい、解決していくという話が非常に印象に残っております。また、トヨタの従来の枠組みを超えて活動の領域を広げ、トータルでのお客様の満足度を上げるという、G-Linkの話は非常に印象的でした。
 また、富士通研究所のイノベーションという話で、富士通研究所の村野さんから、お話をいただきました。これも、従来の研究所のあり方ではなくて、21世紀型の研究所ということで、サイエンスとエンジニアリングを合体させるだけではなく、ビジネスモデルや、支援サービスも含めた広い枠組みの中で行うことが、新しい研究所のあるべき姿というお話で、私も研究機構としてもう少し広い範囲で活動を考えていかなくてはいけないのかと非常に塞ぎこんだお話でした。オープンイノベーションという言葉が使われておりましたが、SS研自身もある意味ではオープンにしていって、どんどん回りの血というか、エネルギーも吸収していくのがいいのかなという気がいたしました。
 次に、グリーン東大工学部プロジェクトということで、東大の江崎さんより、東大での環境の効率化と言うんでしょうか、先生も仰っておりましたが、あまりみんながやりたがらないことを、大きなバックボーンを作ることによって、みんなやる気になるような、非常にスケールの大きい枠組みの中でのプロジェクトのお話を聴き、すばらしいなという印象を持ちました。
 その後、討論会をやらせていただいたわけですが、それぞれ、イノベーションを実現するためには、必ず技術とそれを支えるコーディネータ的な役割の人が非常に重要な役割を果たしている、また、「発明は必要の母」という言葉は、技術をやっている人として、非常に心強いものでした。通常、成果といいますか、それが実際どう使われていくか、最後まできちんと見通して技術は開発しようというのが、最近の傾向になっているかと思いますが、まず、技術にしっかりと根ざしたものがないと、物事は実現していかない、イノベーションには繋がらないんだということも、感じました。
 それから、本日ですが、慶應大の福原先生に、「オープンコースウェアの現状と展望」ということでお話いただき、大学の新たな試みをご紹介いただきました。オープンにすることによって、変革が生まれる、それを実現するために、それぞれの先生が進んでやってくれるわけではないが、時代の流れということで、現場を変えていこうという思想が感じられました。その後、「数学4千年の歴史を化学の目からイノベイトする」ということで、御茶ノ水女子大の細矢先生から、数学という、ある意味で難しい分野を、化学者の目から見て、ピタゴラスの三角形という、我々にとっても、親しみのあるところからも、いろいろなテーマ、いろいろな結果が隠されていて、そういうことをやることが、本当の数学のおもしろいところであるというお話をいただきました。数学が孤立した格好ではなく、いろいろなところから刺激を受けている、科学にもそういう繋がりがあるのかなと改めて思うところがありました。
 最後に、今の座談会です。これは、合同分科会とは、別の枠組み、30周年ということで別企画としてやっていただいたわけですが、SS研の将来を考えて、活性化させるためにはどうすればよいか、SS研のあるべき姿の一つの方向性というものが議論されたのではないかと思います。ぜひ、これからの活動の中へ取り入れていただくとよいと思います。
 雑駁なまとめですが、以上でまとめとさせていただきたいと思います。昨日から二日間、ご参加いただきまして、どうもありがとうございました。(拍手)

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