昨今、大学ではITを活用した授業支援やeラーニングの導入が計画され、実施されつつある。これには国立大学の法人化、少子化による受験生の減少、ゆとり教育を受けた学生の平成18年度入学といった要因があり、この導入を後押ししていると考えられる。
しかし、eラーニングは現在整備段階にあり、LMS(Learning Management System)についても必要な機能の体系化は完全ではなく、授業支援への活用についての実証的な評価も十分でない。これに関連して、Sakaiプロジェクト(*1)に代表されるように、幾つかのLMSオープンソースプロジェクトが世界各地で進められつつある。これらのプロジェクトではそのインターフェースが公開され、LMSに必要な機能モジュールを追加することが可能となっている。これは各教育現場でのニーズに合わせたLMSの活用を実現しようとするものであるが、やはり、その機能体系はいまだ整備段階である。
そこで、本WGは整備段階にあるLMSの機能体系に対して、その一助となるべく、必要とされるLMSとは何かについて研究し、その考察をまとめる。その過程においては、本来の教育方法とはどうあるべきかに立ち返り、ITの活用で教育の何を支援できるのか、教育にどのような効果を期待するのか、そのための利活用方法とは具体的にどのようなものなのかについて、現状調査を踏まえて検討する。これらの検討を通じて、必要とされるプラットフォーム(LMS)とその展望を探り報告書にまとめ、会員へのフィードバックを図る。
*1:米国における代表的なLMSオープンソースプロジェクトの一つ。ミシガン大、インディアナ大、MIT、デラウェア大を中核に、複数のLMSの融合を目指し、メロン財団の支援を受けて2004年1月設立された。