News Letter「ネットワークセキュリティと紛争処理」目次

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0. はじめに
  • 今、予想される危険性とは
  • 犯罪の国際化による対応の困難さ
  • サイバー犯罪防止条約草案の功罪
1. 刑事責任の原則と民事責任
  • 刑事責任の原則 : 故意責任論、過失犯処罰は例外、明文規定が必要
  • 刑事責任の根拠 : 客観要件、法益侵害、主観要件、故意
    従って,通常の管理者には故意責任はない
    では,過失責任はあるか?
    注意義務違反があればよいが・・・
    過失業務妨害はない。
    過失不正アクセス罪もない。
    過失不正文書作出罪もない。
    過失があるのは,致死・傷害等
Jiro Makino
牧野法律事務所 弁護士
牧野 二郎
2. セキュリティ侵害の類型と法的責任
  • 機能停止・サービス停止
    Denial of Service 攻撃によるサーバーダウンなど
    被害者であって,刑事責任はないはず。過失犯罪はあるのか?
    民事責任を負うか
    こうした攻撃の危険性は予測できたか : 予見可能性
    こうした攻撃への予防策は可能か : 予見義務・回避可能性
    こうした攻撃への対策は実施されたか : 回避義務
  • スパムメールの発信基地にされた
    スパムメールは,そもそも違法なのか
    スパムを打ったことへの関与、過失による関与の法的責任
  • 踏み台にされた(不正アクセスの幇助犯?)
    セキュリティ対策を取る必要と,取ることの法的評価
    法的義務があるわけではない・・・懈怠が即犯罪となるわけではない
    どこまでが義務履行か,どこからが懈怠か判断できない
    しかし,基礎的セキュリティ対策が一般化した場合にはどうか
    クラッキングの事故発生報告と,そうした攻撃に対する対策・パッチなどの指導,配布がなされた場合はどうか
    ・・・それを調査し,対策する義務はあるのか
    不正アクセス禁止法第五条によれば,管理者の責任は,法的責任とはされていない。法的? 努力義務ではあるが。
    従って,違反行為だからといって処罰対象とはならない。
    幇助はありうるか。 : 故意に犯罪を助長した場合。 管理者が,知ってこれを放置し,敢えて防止しなかった場合。
  • 乗っ取られて,攻撃基地にされた
    たんなる踏み台ではなく,管理するサーバーが保有している高性能なコンピュータや,特殊なソフトが乗っ取られて,悪用された場合
    車などの管理責任が参考になるか : 自動車損害賠償保障法第3条
    鍵をかけたままにしておいた車に関する管理責任の問題と,類似するか
  • ウイルスを配布してしまった
    ウイルススキャン・ソフトウエアが一般化し,簡単にウイルススキャンできる為,スキャンしないのは過失とされる可能性が出てきた。
    一般論として言えば,主に民事事件として,過失責任が問題になる可能性がある。
  • 違法書き込みと公開をされた
    書き込みをしたものが表示者・行為者としての責任を負担する。故意で行っており,刑事事件となることもある(名誉毀損,業務妨害,脅迫など)うえ,民事事件としても損害賠償の対象となる。
    では,場所を提供していたことに関して,法的責任はどうか。
    判例の動き
    一般論として,発言者とPublisher(編集者)は,常に責任を負うが。
    Distributor(運搬者,場の提供者)は,知っていた時,あるいは知りうべき時のみ
    都立大学事件では,更に免責の方向で動いており,ゼラン事件に近い。
3. 紛争処理の可能性と現実性 専門家ADRの制度を確立すること

©Jiro Makino 2001

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