News Letter「ネットワークセキュリティと紛争処理」

  2001年度第1回会 目次  
(判例の動き)

コンピュサーブ事件 91.10 会員制BBS 名誉毀損事件
米国裁判所は,名誉毀損的コンテンツが,コンピュサーブ社の管理が行き届かないところでアップされ,その内容を審査することができなかったとして,コンピュサーブ社の責任を否定した。
 
プロディジー事件 95.5
ニューヨーク州最高裁は,名誉毀損事件で,プロディジー社が自ら掲載内容を編集し,管理すると公言したこと,またソフトウエアによるコントロールもしていたこと,ガイドラインを作りこれに従って処理していたこと,などを理由に責任を認める。
 
ゼラン事件 97.3
第4巡回区連邦控訴裁判所は,問題発言があった場合損害賠償を避けるため,表現を削除する方向となる。この方向では表現の萎縮効果をもたらすことになるため,ディストリビューターの責任も負担させるべきではないとして,責任否定。
 
ニフティ判決 97.5
東京地裁平成9年5月26日判例時報1610号22頁は,電子会議室での発言内容について名誉毀損に該当するとした上で,一般論としての監視義務や削除義務を否定した上で,ニフティのシスオペが,そうした違法事態を知りつつ,手をこまねいていたこと自体に対して,条理上の作為義務が生じるため,それに違反したことが不法行為責任を構成するとした。
 
都立大学事件 99.9
東京地方裁判所平成11年9月24日判例時報1707号139頁は,大学内ネットワークのホームページに名誉毀損を内容とするものがあった場合,被害者に対してこれを保護すべき法的義務が存するかについて,ネットワーク管理者には第三者を保護すべき一般的な法的地位は認められず,その内容を知り,それが明白に名誉毀損に該当し,被害甚大でかつ加害者の行為が悪質である場合に限られるとして,大学関係者の責任を否定。

©Jiro Makino 2001

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