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3.3. ターンアラウンド時間改善

 前述のジョブ制御機能により運用を開始し、非常に高い利用効率を実現している。しかし、優先順位の低いジョブにおいて、ターンアラウンド時間が長くなる傾向にある。ターンアラウンド時間を改善するため、「スワップアウト時間制限機能」、「SHARE実行時間制限機能」、「逐次パッキング機能」を導入している。

1) スワップアウト時間制限機能

 優先順位の高いジョブと低いジョブを設定しており、高優先ジョブに対してCPU課金を実施している。高優先ジョブは低優先ジョブをスワップし実行することにより、課金の優位性を保っている。
 しかし、高優先ジョブが多く実行されると、低優先ジョブはスワップされた状態が数十時間続くことがあり、ターンアラウンド時間が長くなる傾向にある。低優先ジョブのターンアラウンド時間を短縮するため、スワップアウト時間制限機能を導入している。
 スワップアウト時間制限機能とは、ジョブスワップ対象のジョブがスワップアウト制限時間に達している場合、その時間を超えてスワップされることを防止する機能である。本機能により、低優先ジョブのターンアラウンド時間の短縮を図っている。

2) SHARE実行時間制限機能

 高優先ジョブと低優先ジョブ、または同じ優先順位のジョブ同士でSHARE実行させることにより、メモリ資源の有効利用を図っている。また、高優先ジョブにCPUを独占させるCPU配分率を設定することにより、高優先ジョブのターンアラウンド時間を保証し、課金の優位性を保っている。
 しかし、低優先ジョブは数十時間にわたり、CPUが配分されない状態が発生し、ターンアラウンド時間が長くなる傾向にあるうえ、PE、メモリが長時間にわたって開放されない。この問題を解決するため、SHARE実行時間制限機能を導入している。
 本機能は、SHARE実行される時間に制限を設け、その制限に達しているジョブとのSHARE実行を抑止する機能であり、低優先ジョブのターンアラウンド時間の短縮を実現している。

3) 逐次パッキング機能

 並列ジョブと比較すると逐次ジョブの割合が多く、逐次ジョブのターンアラウンド時間が長くなることが問題となる。
 逐次パッキング機能とは、4本の逐次ジョブをまとめて4並列ジョブとして見なし、並列ジョブ用PEに割り当てる機能である。
 図16.では、逐次ジョブ(JOB-4,5,7,8)を並列ジョブと見なし、並列ジョブ用PE(#4,5,6,7)に割り当てる例を示している。


図16.使用例 逐次パッキング機能


 この機能で注意すべき点は、逐次ジョブと並列ジョブの優先順位の付け方である。図16.を例にすると、並列ジョブ(JOB-6)よりも優先順位の低い逐次ジョブ(JOB-7,JOB-8)が先に実行されることになる。並列ジョブへのPE割り当て遅延を防止するため、逐次パッキング機能により実行される逐次ジョブに対し次の条件を設けている。

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