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4. VPP800性能比較

 残念ながら1世代前のVPP500/7のベンチマークテストデータが存在しないので、ここでは宇宙研のVPP800/12及び名古屋大学大型計算機センターのVPP5000/56の計算結果しか紹介できません。名古屋大学での計算は名古屋大学太陽地球環境研究所の計算機共同利用の課題でベンチマークを取得させていただきました。図4に、1 PE当たりの最大メモリー(7.5 GB)をほぼ全部使えるだけ粒子を詰め込んで計算時間を計測したものを示します。


図4: 粒子シミュレーションの実行時間とPE数の関係(左)VPP800/12(右)VPP5000/56


空間2次元の計算でグリッド数は128×5152個、粒子は各グリッドにイオン・電子それぞれについて平均65個を1 PEあたりに詰め込んでいます。すなわち、全粒子数は42,864,640×(PE数)×2となります。ベンチマークテストはこのグリッド数、粒子数、ファイルへの入出力は無い、条件下で時間を150ステップ計算したときにかかった時間をtimeコマンドで計測しました。宇宙科学研究所のVPP800/12での計測はジョブクラスの設定から1, 4, 8 PEの計算結果を、名古屋大学のVPP5000/56では名古屋大学大型計算機センターのご協力のお陰で、1, 2, 4, 8, 16, 32, 56 PEの計測を行っています。図4中の赤線はuser時間を、青線はvu-user時間を示しています。この計測では空間グリッド数を変化させないで、全粒子数をPE数に比例させて増加させているので図4からも明らかなように非常によい線型性を示しています。これは、テストが並列性の高い粒子数のみを増加させたことによっていると思われますが、ほぼ期待通りの値を出しているといってよいでしょう。PE数に応じて空間グリッドの分割数も増えているのですが、結果の線型性がよいところから見て、電磁場データの重複ローカル配列への転送時間は必要以上に大きな負荷にはなっていないようです。図5に示すようにVPP800とVPP5000の計算時間差はほぼ1.2倍となり両者のclock比がそのままでています。これらの結果は1世代前のVPP500と使用メモリーの量などの関係で直接比較できませんが、経験的に約3〜4倍程度の計算時間差があるといえそうです。

図5: VPP800とVPP5000の実行時間比較



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