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6.大規模可視化技術 [17]〜[18]

 大規模シミュレーションでは大容量の解析結果データが生成され、可視化に代表されるポスト処理に過大な負荷がかかると予想される。そこで、大規模解析結果の処理を容易にする並列可視化手法、解析結果から自動的に特徴を抽出し、ユーザーの解析結果データの理解を助けることを可能とする技術を開発してきている。

(1)大規模解析結果の処理を容易にするための技術

 大容量解析結果の処理を容易にするために、大規模な可視化処理を高速に実施可能とする並列可視化手法と、その可視化処理から生成される大規模な可視化データ量を適切に削減することを可能とする、詳細度制御付き削減手法の開発を進めている。計算負荷の高い可視化マッピングを並列計算機上で並列に行ない、大規模解析結果データに対して高速な可視化を可能としている(図-12)。その並列可視化例を図-13に示す。


図-12 大規模解析結果の処理を容易にするための可視化技術


図-13 並列可視化例

 また、可視化データ量を削減するために、大規模ボリュームデータから抽出される等値面や区間型ボリュームなどの幾何学的データ構造の詳細度を、幾何学的制約とカラーコーディングされた表面に分布する物理値の変化を同時に考慮に入れて制御する手法を開発した。これにより、物理的に重要な情報を失うことなく、可視化データを削減(データの間引き、可視化形状の簡単化)することが可能となった。詳細度制御によりデータ容量が数分の一に縮小され、W/S、PC等のクライアントマシンに解析結果を容易にダウンロードでき、また対話的速度で視覚的に対象を調べることができる点で、その効果はきわめて大きい(図-12)。

(2)解析結果の特徴を自動抽出する技術

 ホモトピー法に基づく解析結果の特徴を抽出する技術の研究を実施した。この技術は、ホモトピー解析により、物理量の分布特徴を把握し、それに基づき不透明度や色相を強調する部分を自動的に決定し、ボリュームレンダリングを実行することで、物理量分布の特徴を自動的に認識しやすくする(図-14)。通常の可視化作業では、試行錯誤による可視化で物理量の分布特徴を認識するため、可視化回数が多くなるが、この方法を用いれば、可視化回数を劇的に減らせる可能性があり、可視化処理の負荷が大きい大規模解析においてはその意義が非常に大きい。


図-14 ホモトピー解析とそれに基づく可視化の自動化・表示結果


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