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3.4 電子掲示板システム

     電子掲示板システムは知識科学研究科棟の廊下やエレベータホールなどにタッチパネル付きの大型ディスプレイを37台設置し、各種情報を提供するものである。これらのディスプレイでは単に情報を垂れ流しするのではなく、タッチパネルでの操作によって必要な情報の検索などができるようになっており、「いつでもどこでも誰でも」の知識創造支援環境を構築するためのシステムである。
     電子掲示板システムのディスプレイとしては、リコー社製マルチメディアボードMediaSite MB1-40を採用した。MB1-40は40インチのプラズマディスプレイで、解像度は640ドットx480ドット(VGA)である。VGA入力やVIDEO入力端子をそなえ、これらの信号切り替えや画面のON/OFFの制御用RS-232Cインターフェースを持っている。また超音波表面弾性波方式のタッチパネルを装備しており、指などで触れることによって操作できるようになっている。さらに、プラズマディスプレイの寿命は比較的短い(カタログ値10,000時間)ため、無駄な点灯をさけるため人間が前に立ったときだけ点灯するよう、赤外線による人間感知センサも装備させている。
    図3.4-1 電子掲示板システム  制御部用PCはWindows98搭載のタワー型マシンを使用し、このPCの画面をMediaSiteで表示するようになっている。PCには人間感知センサや画面のON/OFFをコントロールする制御ソフトウエアのほか、各種サービスを提供するためのアプリケーションソフトウエアを搭載している。制御ソフトウエアでは、画面が消灯する際にそれまで利用者によって起動されたアプリケーションなどをすべて終了させ、点灯時にはアプリケーションのトップ画面を表示させるようにして、次の利用者に対してきれいな画面を見せるように配慮している。また制御用PCのネットワーク接続には無線LANを利用し、できるだけ余分なケーブルを見せないよう美観にも配慮している。
     またこの電子掲示板にはカメラとマイクが接続されており、Microsoft NetMeetingを使ってテレビ電話としても使えるようになっている。
     制御用PCのOSとしてWindows98を採用しているが、システムエラーが頻発し長時間の運用に耐えられない。このため、将来的にはOSとしてLinuxを採用する予定であるが、各種ドライバの開発に時間がかかるため、とりあえずWindows2000での運用を目指してソフトウエアの移植作業を行っている。また、30台以上の電子掲示板をリモート制御で管理・運用するための集中監視・制御システムを開発中である。

3.5 Webベースオペレーション

     知識科学研究科の特徴の一つとして文理融合の研究科であるということがあげられる。すなわち同じ学科内に文系と理系の教官や学生が存在するということである。このことをコンピュータの利用という面から見ると、ワークステーションをフルに使って計算させたり、プログラムを開発したりする研究室がある一方、PCを文房具がわりにしか使わない研究室もあるということである。そのような状況で、いくら良いシステムがあったとしても使い方が難しければ皆に使ってもらえることは期待できない。そこで、本システムのコンセプトの一つとして、「誰でも簡単に使えるシステム」を目指している。
     コンピュータの利用形態で現在もっとも身近なものといえばWebブラウザによるホームページ閲覧であろうと思われる。したがって、本システムのすべての機能をWebブラウザから操作できれば、誰にでも抵抗無く使ってもらうことが可能となると考えられる。
     現在、本システムのうちマルチメディアデータベースの検索やVODの閲覧はWebブラウザを使用している。また、モデリング・シミュレーションサーバのジョブの投入やステータスの閲覧および結果の表示など、通常リモートログインしておこなっていた操作をWebブラウザでおこなえるようなしている。さらに可視化ソフトウエアであるAVSの操作や表示も、簡易版ではあるが、Webブラウザでできるようにした。今後他のアプリケーションもWebブラウザで操作することができるよう、人にやさしい利用環境をめざして開発をおこなっていく予定である。

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