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3.3 VODシステム

     VODシステムは講義や特別講演などを撮影した映像を蓄積・配信するほか、フィールドワークなどで撮影された映像資料などを蓄積・配信する。
     VODシステムとして、映像・音声圧縮方式としてMPEG-4を使用した日立製作所のMediaHallを採用した。本システムでは講義室に常設されたカメラの映像をリアルタイムMPEG-4エンコーダ(ソフトウエア)で圧縮し、ストリーマと呼ばれるサーバに転送する。ストリーマからはリアルタイムで配信(放送)するとともに、ファイルとして記録する。ファイルとして記録されたものは要求があった場合にいつでも配信することができる。撮影するスケジュールなどはマネージャと呼ばれるサーバで制御される。またカメラのコントロールなどはセンターのコントロールルームから遠隔操作できるようになっている。
     撮影された映像はビデオ編集システムで編集するとともに、電子化された講義資料(ワードやパワーポイントなど)を貼りつけることができるようになっており、さらにそれらをHTML形式で保存するようになっている。すなわちクライアント側ではWebのブラウザで映像が見られると同時に、講義で使用している資料なども画面と同期した形で見ることができるのである。
     さらにこれらの映像データはマルチメディアデータベース・サーバに送られ、他の資料とともに情報検索システムに組込まれ、キーワード検索などで探すことができるようになっており、検索システムから映像を見ることもできるようになっている。

図3.3-1 JAIST MediaHall概念図

    【MPEG-4について】図3.3-2 MPEG比較図
     MPEG-4はテレビジョン以外の動画像、インターネットや携帯電話などの移動体動画通信、デジタルラジオ放送の動画など、「情報提供」のための動画の世界を切り開いていく将来性のあるフォーマットである。国際標準規格であり、1社が独占しているフォーマットと違い、貴重な映像ファイルが将来長期間にわたって使用できることが期待できる。狭い帯域に対応しており、同じ帯域での画質が向上している。またMPEG-2に匹敵する帯域までカバーすることができ、狭帯域から広帯域まで対応することができる。1999年に標準化が一段落し、これから発展することが期待できる将来性のあるフォーマットである。

     本システムにおいてMPEG-4を採用した理由は以下の通りである。第一に、使用目的が主に講義映像や資料映像の集配信であり、映画のような高画質である必要が無いため、ある程度の画質が得られながら狭帯域に対応する方式であること。第二には、必要に応じて帯域を選択できるため将来性があること。第三には、映像とともに電子資料を同期配信できるため教育目的には最適であること。


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