[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ]

( 3 / 9 )

3.デジタル環境実現事例

3.1 無線LAN

     無線LANシステムは知識科学研究科のモバイルコンピュータ環境を提供するとともに、装着型コンピュータや電子掲示板システムなどを構築するために必要となるシステムである。
    図3.1-1 Melco AirStation  無線LANアクセスポイントには、株式会社メルコ社製のAirStation WLA-L11を採用した。これは知識科学研究棟内の無線LANカードを装着した各携帯端末に対して、11Mbps無線LANデータ通信サービスを提供する。AirStationは接続したまま移動できるローミング機能を搭載しており、WEP暗号化およびMACアドレス登録機能により、セキュリティを保持できる。
     また、11Mbps 無線LAN AIRCONNECT PC Card TypeII 用カード(WLI-PCM-L11)は、NOTEパソコンで高速無線LAN環境を実現する。 知識科学研究棟には、無線LANのアクセスポイントAirStationが約70個設置してあり、知識科学研究棟全域(1棟、2棟、3棟、各中間棟及び講義棟)において、11Mbpsのデータ通信が可能で、かつ、ローミング機能により、接続した状態で徒歩による移動を行っても接続が切れないようになっている。
     セキュリティ保持のため、無線LANを使用する端末については、MACアドレスの登録を行い、外部侵入者の使用を防ぐようにしているが、一台一台のアクセスポイントごとに登録するしか方法がなかった(2001年4月現在)ため、perlのwebクライアントモジュールを使用した登録ツールを作成し、登録をおこなっている。
     またローミング機能を使用するには、すべてのアクセスポイントのIPアドレス空間を同一サブネットとする必要があるため、プライベートアドレスを使用しIPマスカレードでグローバル空間と接続している。

3.2 位置検出システム

     位置検出システムはELPAS(Electro-Optical Systems)社(イスラエル)のEIRIS(ELPAS InfraRed Identification and Search system:赤外線ロケーションシステム)を採用した。このシステムは、バッジと呼ばれる送信機から通常4秒毎に固有のIDを含んだ信号を拡散赤外線方式で発信し、リーダと呼ばれる受信機で受信してその情報を制御用PCで解析し、バッジをつけた人間のいる位置をモニタリングするものである。本来EIRISは病院などで患者や医者の位置を把握する目的で開発されたものであるため、赤外線が使用されている。
    図3.2-1 EIRIS概念図  本センターでこのシステムを導入するにあたって、微弱電波を使用した同様のシステムとの比較検討をおこなった。その結果、電波方式は検知範囲や確実性などにおいて赤外線方式より優れた点もあったが、位置情報の正確さや動きの検出、無検出状態における位置推定などといったソフトウエア性能面でEIRISが優れていた。
     知識科学研究科棟には約120個のリーダが設置されており、利用者の位置情報をかなり正確に特定することができるようになっている。
     EIRISには開発キットが付属しており、アプリケーションを開発することによって知識創造支援システムの各サブシステムと連携が可能となる。今後はこれらのサブシステムと連携したアプリケーションを開発し、例えばバッジIDをユーザ認証に利用するとか、廊下など各所に設置されている電子掲示板(後述)を利用する際に個人を特定して情報を提示する、などのサービスを提供することが考えられる。

[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ]