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5.今後の課題

 ここ数年、就職活動の形態は大きく変貌した。それを端的に表す言葉は「情報化」と「自由化」である。大学におけるインターネットの波は平成8年頃であったろうか。本学でもインターネット広報委員会ができ、大学としての公式ホームページができた。そして「就職協定の廃止」は平成9年1月であった。それからほんの数年の内に、学生のパソコン保有率は8割を越えるに至った。リクルートナビや日経就職ナビなど就職情報サイトへのアクセスなしには学生の就職活動は全く成り立たない状況である。ほとんどと言って良い程の多数の学生が真剣になって、見えない自身の進路を見つけるため、業界情報や企業情報などをインターネットで探している。

 iモードが爆発的に普及していくことにより、日本のインターネット人口はそれまでのパソコン利用者よりも、携帯電話の利用者によって大きく膨れ上がった。そして電話機能もさることながら、電子メールの利用が私たちの就職支援活動を大きく変えようとしている。本学のこのシステム以降、立教大学をはじめとして、多くの大学でiモードなど携帯電話向けの情報提供システムが増加している。利用対象者も大学構成員のみならず、受験生や一般社会人向けに情報発信するツールとして意識されている。これも携帯電話所持者の普及状況に応じた流れと言えるであろう。

 本学のi−KIPSは上で述べたように文字情報に限定して開発せざるを得なかった。しかし最新機種の仕様ではJAVAが採用され、「iアプリ」のようにサーバ側からプログラムを提供できるようになった。今回のシステム開発からまだ1年半という日数しか経っていないが、携帯端末の世界は早くもW−CDMAの採用というように第3世代の規格に突入しようとしており、年内には動画もスムーズに利用できる携帯端末が学生の間に普及するであろう。

 このような変動極まりない時代に対応するためには、就職課員が状況に応じて求人求職情報を編集加工できる柔軟なシステムが必要である。「就職活動は4年生である」とか帳票レイアウト変更するにも大がかりなシステム変更を必要とする、従来の固定的な概念をシステムから排除しなければならない。

 求人側の企業の人事担当者がインターネットを通じて求人情報を本学の就職データベースに登録することができ、それを必要とする学生が、それぞれの希望する条件に見合った求人・企業情報を容易にいつでも取り出すことができ、また自動的に送ってもらうことができる。良い情報に出会えば、そぐそこから企業にメールや携帯電話でアクセスできる。就職課員はそんな就職データベースから担当業務に必要な情報をいつでも取り出してエクセルなどパソコンソフトで編集加工の上、業務資料を作成し、学生にメール発信し、プレゼン資料を作成し、業務報告する。そんなシステムが求められている。業務支援のシステムで大型汎用計算機を使用している現状では考えられない機能であるが、世の中の事情は、今や実現可能性の高い状況になっており、また求められていると言える。就職情報サイトのシステムではこれに近いシステムがすでにできつつある。

 KIPSの開発においては、平成9年当時の就職課の若手課員及び情報処理センター事務システム課の担当者がプロジェクトチームを編成して、求人情報をイメージで提供する画期的なインターネットシステムを実現した。私がこのレポートを記すことができたのも、彼らの労苦があってのことである。彼らに感謝したい。その後を受けて、国内の大学ではトップを切ってiモード版就職情報システムを開発することができた。いずれの開発のおいても当方の開発の意図を十分に理解され、多大なる協力をいただいた大阪電子計算株式会社及びその担当SEの方々にこの紙面を借りて感謝の意を表したい。またiモードシステムを世に提供し、本学のシステム開発にもモニター機器の提供やアドバイスなどの支援をいただいた株式会社NTTドコモ関西及び関係企業の方々にお礼を申し上げたい。


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