[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ]
( 2 / 5 )

2.CCCのねらいと提案内容(1)

     「ネットワークを利用した授業を通じて、情報ネットワーク社会に相応しいカリキュラムの多様化および教育のグローバル化に対応した教育機会の提供を目的として、サイバー・キャンパス・コンソーシアム(CCC)を組織し、教育機関の教育研究活動の活性化と社会への教育のオープン化を促進する」というのが、高々と掲げている本CCCのねらいです。もう少し具体的に言えば、「大学のアイデンティティを尊重しつつ、大学の枠を越えて可能な範囲内でネットワークを介して大学間相互で教育の連携を図り、授業の質的向上を図る」ことを目的として、「一大学ではなし得ない多様かつ国際的に通用する教育の提供を効果的に推進するため」にネットワーク上でCCCを形成するものです。従って、「情報通信技術を活用した新しい教育方法、教育環境について大学が連携して実践的な研究を行い、望ましい教育を実現・促進するとともに、ネットワークによる連携を促進し、大学運営に寄与すること」が当面の目的となります。

     まず、CCC事業の設立に当たって、私情協の基本的なスタンスを明確にしておく必要があります。私情協は私立大学等を対象にこれまで事業を展開してきましたが、このCCCは将来的には、私学だけでなく国公立も含んで、更に外国の大学も包含した包括的なものを想定しています。また、私情協が主導権を以って教育の内容を取りまとめて行こうとするものではなく、各大学、各教員のアイデンティティ、個性を尊重する事が基本であり、私情協は教育研究活動の協力のための共通の基盤を提供する事に専念し、各大学、各教員は、その上で多様な教育活動の華を咲かせて頂くための支援をする事にCCCの真の目的があります。従って、本格化した場合にも、どのような授業を配信し、受信するかは、また、どのように成績評価をし、単位認定をするかはすべて各CCC加盟校に任されることを想定しています。また、ネットワークによる連携には、教育事務や情報通信施設の共同運営等も考えられますが、CCCはまったくこのようなことは想定していなく、目的遂行のために必要な情報通信環境を共同で検討する事は有り得ても、あくまでも教育のコンテンツの共同開発、教育の連携実施等が主眼であることに留意する必要があります。

     さて、ネットワークを利用して幾つかの大学が共同・連携をして教育研究の質的向上を狙う場合、どんなことが想定されるのでしょうか? CCCでは、当面考えられる事業の具体的なイメージの例として、例えば次のようなものを挙げています(1)

    1. シラバスとITを活用した授業運営情報の共有
    2. 例えば、私情協のポータルサイトから各大学の授業科目ごとのシラバスが閲覧できる。---各大学にリンクを張る(以下同様)。
    3. 演習・練習問題、試験問題等の共同使用
    4. 例えば、授業科目ごとに演習・練習問題、過去の試験問題等を閲覧・使用できるようにする。
    5. 教材・素材等の共同使用
    6. 例えば、授業科目ごとのグループを形成し、教材・素材等を閲覧・使用できるようにする。
    7. 基礎学力の学習を補完するための教材環境を大学間で共同構築
    8. 例えば、基礎的な教育を学習できるようなソフトのデータベースを構築する。
    9. 教材の共同開発
    10. 例えば、グループを構成し、大学間が協力をして教材作成を共同開発する。
    11. 授業の支援及び共同・合同授業
    12. 例えば、ネットワークを介して、オンデマンドでコンテンツを送信し、授業を支援する。
    13. 例えば、ネットワークを介して、大学間で学習成果の講評を行う。
    14. 例えば、ネットワークを介して、複数の大学教員で共同して授業を行う。
    15. 例えば、自大学にない授業をネットワークで合同授業をする。
    16. 例えば、大学外の専門家を公募してネットワークで授業を支援する。
    17. 例えば、特定の授業を複数大学がネットワーク上でチームを組み、学生による意見発表を中心として合同授業を行う。
    18. 例えば、外国大学とビデオ・オンデマンド方式で授業の連携を図る。
    19. インターネット・オンデマンド方式

      インターネット・ライブ方式

      ISDN(公衆回線)方式

      衛星通信方式

    20. ネットワークによる生涯学習プログラムの共同運営
    21. 例えば、複数大学で生涯学習プログラムを分担構築し、ネットワークで授業の配信を行う。
    22. IT技術のネットワーク支援
    23. 例えば、私情協のポータルサイトを介して、賛助会員も含めて、教材等の電子化を促進支援する。
    24. ネットワークを介した大学知的著作物の権利処理
    25. 例えば、私情協が知的著作物の権利者やコンテンツ等属性の明確化、及び利用許諾等の著作権処理を行う。
    26. ネットワークによる施設・設備等の共同購入と共同運営
    27. 例えば、電子出版物等をネットワークで共同購入の仲介等を行う。

[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ]