(社)私立大学情報教育協会 常務理事 向殿 政男 (明治大学理工学部情報科学科 教授)
1.はじめに 「大学を待ち受けている冬の時代」、これはもう耳にたこのフレーズです。確かに18歳人口の減少の予測ほど確実な予想はありません(いや、これは予測ではなく現実です)。既に足元に押し寄せる波に翻弄されている教職員から、危機感をまったく感じない教職員まで、現実の対応は、大学や人によって千差万別です。アメリカの某大学が衛星を通じて世界中に授業の内容を無料で公開・配信するというニュースにはびっくりさせられました。やっと遠隔授業だけで単位が取れる方向に動き出しつつあるわが国の現状に対して、既に相当の隔たりが存在するだけでなく、教育のグローバル化は必須の流れであることを実感させられたからです。明らかにわが国の大学を取り巻く環境は劇的に変りつつあります。このIT革命を中心とした新しい波に対応しない限り、大学としての生き残りは難しそうなのは誰の目にも明らかなように見えます。しかし、情報環境の整備に多額の費用を要し、教育コンテンツの開発は想像以上に困難を伴い遅々として進まず、どのような教育方法が真に教育効果をあげるのか明確でない現状では、私学を初めとして各大学は対応に躊躇せざるを得ないのが、特に、規模として中堅以下の多くの大学では、費用、人材、ノウハウ等の点から対応したくても出来ないのが、現実ではないでしょうか。 私情協(私立大学情報教育協会)は、これまで、私学の情報環境整備の向上に努力して来て、それなりの一定の成果を上げてきたことはご承知のとおりです。"情報教育の実施"から"教育の情報化"へと進展して来た私情協の事業内容も、昨年あたりからは、事業の主眼点を"情報環境の整備"から、"情報技術を利活用した教育内容の質的向上"へ、特にコンテンツの開発へとシフトしつつあります。そして、今年度、私情協では、多くの大学がネットワークによる連携を通して、IT技術を活用した教育方法を実践・促進する事を目的として、CCC(サイバー・キャンパス・コンソーシアム)事業を展開することになりました。やっとそういう時代を迎えたかという積極的な意見から、教育の画一化だという意見まで、また、是非共同で協力して授業を充実させてみたいという意見から、他人の授業なぞ利用したくないという否定的な意見まで、さまざまな意見が聞かれますが、冬の時代を迎える大学が、限られた資源の中で、活き活きとした、学生に魅力のある教育を実践するためには、「共生の中での競争化」、「ユニーク化の下での協調」といったCCCの目指すところは不可欠であろうと思われます。
私情協(私立大学情報教育協会)は、これまで、私学の情報環境整備の向上に努力して来て、それなりの一定の成果を上げてきたことはご承知のとおりです。"情報教育の実施"から"教育の情報化"へと進展して来た私情協の事業内容も、昨年あたりからは、事業の主眼点を"情報環境の整備"から、"情報技術を利活用した教育内容の質的向上"へ、特にコンテンツの開発へとシフトしつつあります。そして、今年度、私情協では、多くの大学がネットワークによる連携を通して、IT技術を活用した教育方法を実践・促進する事を目的として、CCC(サイバー・キャンパス・コンソーシアム)事業を展開することになりました。やっとそういう時代を迎えたかという積極的な意見から、教育の画一化だという意見まで、また、是非共同で協力して授業を充実させてみたいという意見から、他人の授業なぞ利用したくないという否定的な意見まで、さまざまな意見が聞かれますが、冬の時代を迎える大学が、限られた資源の中で、活き活きとした、学生に魅力のある教育を実践するためには、「共生の中での競争化」、「ユニーク化の下での協調」といったCCCの目指すところは不可欠であろうと思われます。