[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ]
( 7 / 10 )

    1. 統合型学術情報システムの導入
       東北大学附属図書館では、前述の超高速ネットワークと一括して「統合型学術情報提供システム」を2001年12月に導入予定である。本システムは多様なメディア、形態に対応できる先端システムを導入し、電子図書館的機能の拡充を図ると同時に、貴重資料、学術論文などのデジタルによる有効利用を促進することを目的としている。
       また、従来個別に提供されていたテキスト、図、静止画、音声,動画等のマルチメディア情報、パッケージ型、オンライン型を含む各種データベース、電子ジャーナル等のインターネット上の情報資源を学内LAN経由により学内外に統合的に提供する。これによって、学習・教育・研究に必要な情報を迅速かつ効果的に活用できる教育研究基盤を整備・確立する。システム的には、図-12に示すように、4つのサーバ群と高解像度文献画像伝送システムからなる。これらについて以下に概説する。
      図12
      図-12:統合型学術情報システムの構成

      1. 動画クライアント/VODサーバシステム:
        映像・音声をMPEG2/1やRealVideo8(ストリーム型動画)で配信する。
      2. 教材登録システム:
        電子教材のマルチメディア・データを登録・蓄積する。
      3. マルチメディアサーバシステム:
        全文検索機能と高精細度画像機能(GigaView:高精細度静止画アーカイブ構築toolによる)を提供する。
      4. CD/DVD-ROMサーバシステム:
        CD、DVDのネットワーク経由のアクセスを可能とする。
      5. 高精細度文献画像伝送システム:
        書籍や文献を高品質画像として取り込み、ネットワークを介して伝送するシステム(EpicWin)で、将来的にDDS(Document Delivery System)と連結して運用する。
      6. インターネットクライアント群:
        利用者用オープン端末群の整備。

    2. 電子的授業支援システム(ECR : Electronic Course Reserves )の構築
       授業で教師が学生に予め読んでくることを支持する文献等を図書館が用意し、学生に提供するサービスを授業支援サービスという。欧米の図書館ではReserve DeskにおけるCourse Reserve : CR15)として、長い歴史を持つサービスの1つに位置付けられている。用意される資料としては、授業で使用される図書や雑誌論文のほかに、シラバスや講義録、宿題、試験問題等も含まれ、試験期など利用が集中するために貸出は短時間に限られている。従って図書館側の負荷や学生の利用上の不満など問題もあり、資料を電子的に提供する電子的授業支援サービス(ECR:図-13)が期待されている。
       東北大学附属図書館では、平成12年度東北大学教育研究基金により、ECRに関する調査とプロトタイプシステムの開発を行った。本システムは、PCサーバのもとにLinux(Debian Linux2.2)、MySQL2.23, Perl 5.004 / JavaScript, Apache 1.3.9という全てオープンソースソフトウェアで構成している16)ところに特徴がある。
      図13
      図-13:電子的授業支援システム

    3. 情報セキュリティポリシーの策定
       情報基盤にとって情報セキュリティの確保は最重要課題の1つである。政府の情報通信技術(IT)戦略本部の下部組織である「情報セキュリティ対策推進会議」では、2000年7月に決定した「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」17)に基き2001年12月までに情報セキュリティポリシーの策定とその実施手順の作成を要請している。
       文部科学省の情報化推進室からは、2001年6月15日付けで同省傘下の各機関に対し、同様の趣旨の文書が出され、目下国立大学を含む各機関で検討がなされている。ここでは「情報セキュリティ」を「情報資産の機密性、完全性、可用性を維持すること」と定義しており、e-Japan戦略に盛り込まれている電子政府の実現に向けて、2003年までにその基盤にふさわしいセキュリティ・レベルを達成することを目標としている。
       セキュリティポリシーは図-14に示す手順で策定し、セキュリティの対象としては、1)物理的(施設・設備)、2)人的(教育・訓練)、3)技術的(ネットワーク管理)、4)運用(システム監視)の4つを挙げている。東北大学では、情報基盤委員会の下の「ネットワーク安全・倫理専門委員会」(専門委員9名)が担当し、現在検討中である。
      図14
      図-14:情報セキュリティポリシーの策定


[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ]