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PCクラスタはPoor Man's Supercomputer



  1. はじめに
  2. ハードウェア・ソフトウェアの選択
  3. PCクラスタの価格
  4. 並列計算
  5. パフォーマンス
  6. さらなるパフォーマンスの向上
  7. まとめ
  8. 今後の展望
写真


理化学研究所
姫野 龍太郎
  himeno@postman.riken.go.jp  
(発表者)

理化学研究所
重谷 隆之
  shige@postman.riken.go.jp  

北陸先端大院
黒川 原佳
  kurokawa@jaist.ac.jp

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要約

 PCクラスタは従来の一部マニアのものではなく、簡単に導入できる価格性能比の良い計算機プラットフォームになってきた。最大の問題であるMPIによる並列化も、小規模なシステムであれば、かなり簡単に性能を引き出すことができる。ここでは小規模なクラスタの導入に関わる手間・コストを示すとともに、姫野BMTを使って書き直しに必要な手間と性能の関係を調べ、報告する。また、更なる性能を目指したときにボトルネックとなる問題点とその解決策も挙げる。


1.はじめに

 最近、PC(Personal Computer)やそれを取り巻くデバイス等のハードウェア分野では高性能化、低価格化が急速に進んでいる。そして、ソフトウェアについてもOS(Operating System)や開発ツール、ライブラリ等のオープンソース化によって、ソフトウェア利用における金銭的なコストを考慮する必要がほとんどない。これまでも、先端的な研究者や、UNIXやLINUXに詳しい人間のいる研究室で導入している。我々は理研の研究センターとしてVPP700Eなどのスーパーコンピュータを運用し、ユーザーにサービスを行ってきた。それらのHPC専用のマシンはPCクラスターに比べ、桁違いにコストパフォーマンスが悪い。このままの状況を続けると、一般の研究者・ユーザーとセンター側との意識のずれが拡大し、ユーザーの計算機センター離れが進むのではないかと危惧される。そこで、昨年100万円以下という制限を設けてハードウェアを購入し、PCクラスタを構築した。現在は更に4台追加して8台構成である。これによって、一般の研究者が導入するときの問題点、うまく構成されたときのコストパフォーマンス、HPC専用機との特性の違いなどを調べた。
 PCクラスタになじみのない人間が最初に戸惑うのは、次のような問題であろう。

 そこで、実際に数値流体計算に用いるPCクラスタ環境を構築する場合の導入前後の状況およびベンチマークプログラムによる性能評価の結果を紹介する。

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