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6. おわりに

 私たちは2次元の大規模プラズマ粒子シミュレーションを大きなイオン−電子質量比で行い、異なるスケールの不安定の非線型カップリングによる新しい磁場拡散過程を発見しました。今回の発見はVPP500の時代ではできなかった高質量比の計算がVPP800やVPP5000の大きな能力によって初めて実行可能になったことによって得られたものです。大規模粒子シミュレーションは膨大な計算機リソースを要求するのですが、VPP800やVPP5000の登場によって、少なくとも2次元の計算の範囲内であれば、十分に大きなイオン−電子質量比で空間的にMHDスケールの計算を実行することが可能になりました。これによって、これまでほとんど手がつけられていなかった電子スケールとイオンスケールの中間的なスケールの物理が粒子シミュレーションを通して私たちの研究対象になってきたのです。この点において、ここ1年間のスーパーコンピューターの世代交代はプラズマ物理学の粒子シミュレーションにとっては非常に大きな意味を持つことだと思われます。次のターゲットは3次元粒子シミュレーションです。これには現在の宇宙研のVPP800/12の約数10〜100倍程度の計算能力が必要だと予想していますが、この能力が次期スーパーコンピューターで到達されることに期待したいと思います。


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