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[高見澤] ありがとうございました。サポート体制等については、共通する話題かと思いますので、後ほどまたお話を皆さんにお伺いしていこうと考えています。
それでは、信州大学さんへの個別質問として「講義配信しているビデオは授業中そのものか?」という質問がありましたので、不破先生にお答えいただきたいと思います。
[不破] はい。その前に、東北大学さんの今のお話を聞きながら、うらやましいなと思っていました。サポート要員がいるとか、メーカーの支援があるとかいった点です。私どもは、いわば教員がゲリラ的に作ってきたところですから、そういったサポートは無く、教官が何もかもやらなくてはならなかった経緯があります。コンテンツも全体の支援体制があって、その中で各教官が作ってきたわけでもありません。作らなくてはならないと思った教官が個別に作成してきた形になります。例えば、授業の様子をビデオで撮ってというようなものも、何らかの支援がないとなかなか撮れないので、そういったコンテンツは実はありません。
[高見澤] 確かに無かったですね。
[不破] はい。少しだけあるビデオコンテンツは、ロッカールームのような場所で教官が自らビデオをセットして、その前で話して用意したPowerPointのようなデータと連動させてというようなコンテンツが数学系の授業で少しあるだけです。
ただ、その手の授業は先ほどのアンケートで見ていただきましたように、学生の評判が悪いので、他の授業と同じように文章で説明をして、一部挿絵やアニメーションが使われていて、テストがついているようなコンテンツに、教官が自ら作り直しているのが現状です。そういう形の授業は減ってきております。
しかし最近は、大学が私たちの作成してきたものに理解を示してきてくれ、援助をしてくれると言われています。また、我々も大学のそういった組織へ出向き、作成方法の教授を行っております。また、センターへ週1回出向き在席することで、他の学部の教官が作成のサポートをしております。大学からは援助を、我々は人を出して作成のお手伝いをすることにより他学部、他学科、一般教養科目のコンテンツ作りを進めております。そちらではカメラの前で座り、録画するという形態のものもありますが、授業そのものを録画してというものはありません。
[高見澤] 先ほども少しご説明いたしましたが、私は信州大学インターネット大学院に2年間在学しておりましたので、学生の立場でお話させていただきたいと思います。今ご質問のあった「講義配信しているビデオは授業中そのものか?」については、私が受講した科目では、授業そのものが録画配信されたものは、1科目しかありませんでした。その1科目の授業をされた先生には、受講後、苦情のメールを出させていただきました。実際に、受講して役に立ったのはPowerPointで事前に配布されていた教材とストリーミングの中の音声だけでした。実際問題、失礼ですが、退屈な授業90分を動画ストリーミングで受講するのは非常に苦痛でした。私自身も社会人として時間に制約のある中で授業を受けていたわけですが、分かるところは飛ばして見たいものなんです。ストリ−ミングだとある程度制約されてしまうので、授業中のビデオ配信というよりは、ストリーミング用のコンテンツを最初から作リ直さないと実際問題は難しいのではないかと思います。
[不破] そうですね。私もそう思っています。CAIの利点は自分の学ぶスピードで学べることができるということです。それでなければ一斉授業と変わらないわけです。VODで配信するというのは一斉授業をただ写しているだけなので、CAIの自分のペースで学べるというものを阻害していると思います。
[高見澤] そうですね。授業のビデオをそのままキャプチャするのは手軽に作るという意味では、いいのかもしれないですが、実際問題そのまま流すには難しいのではないかと考えます。例えば、ソフトウェアのツールとしては富士通の提供しているUb!Point等を使えば簡単にキャプチャしてモノは作成できますが、肝心の授業が、それを想定して作成していないとなかなかそのままコンテンツとして使用するのは難しいと思います。
続きまして、岐阜大学さんへの質問に移りたいと思います。


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