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3.システム全体の統合化技術 [6]

 GeoFEMは、並列有限要素法解析のシミュレーションプラットフォームであり、解析モジュールを組み込み、統合化された並列有限要素法シミュレーションシステムを構築するための基盤である。ここでは、GeoFEMのシステム構成とその統合化技術の基本であるプラグイン技術について説明する。図-3は、GeoFEMのシステム構成を、図-4はプラグイン技術を示す。GeoFEMシステムは、図-3に示すようにプラットフォーム、解析サブシステム、ユーティリティ群からなる。プラットフォームは、GeoFEMの核となるものであり、並列I/O、線形並列ソルバー、並列可視化、プラグインインターフェース、カップラーからなる。ユーティリティは、並列計算用の分散入力データを生成するパーティナー、メッシュデータ・解析結果データの可視化データを表示するビューワーからなる。解析サブシステムとし、線形・接触構造解析、熱流体解析等のすでにプラグインされた基本的機能を有する解析モジュールが準備されている。


図-3 GeoFEMのシステム構成


図−4 GeoFEMのプラグイン

GeoFEMのプラグインとは、作業面から見ると

  • ユーザの解析コードの入出力部分を取り去り、プラットフォームとの接続界面であるAPI (Application Program Interface)に合わせて解析コードの接続部を変更し、プラットフォームの既定ルーチンを呼び出すことにより、プラットフォームのサービス(分散データの読込み、並列ソルバーの利用、可視化器へのデータ転送等)が受けられるようにすること。
  • 線形ソルバの呼び出し部分をソルバサブシステムのAPIに合わせて変更し、並列線形ソルバを使えるようにすること。
である。効果面から見ると

  • 自分で解析コードの並列化をすれば、領域分割手法に基づいても、領域分割はどうするのか、通信テーブルはどう作るのか、解析モジュールのどこをどう並列化するのか、並列の入出力はどうするのか、可視化はどうするのかと…ほとんど絶望的な状況に陥る。つまり、非常に面倒である。
  • GeoFEMを用いれば、入出力とソルバに関するプラットフォームのAPIに合わせ、シリアルなユーザ解析プログラムのインターフェースを変更すれば、並列化が可能である(PLUG & Parallel Play)。
  • しかも、すでにプラグインされた構造,流体の解析モジュールを使えば、後は単にシリアルな解析コードの開発と同じ作業で並列解析モジュールの機能アップを進められる。
  • さらに、入力データが共有でき、可視化器も接続される。
ここで、プラグインを実現している仕組みとしては、

  • データ構造とそれを反映した分散メッシュ入力データをサポートしている。分散メッシュ入力データは通信情報も含み、その分散メッシュデータは、GeoFEMのユーティリティにより自動生成されるため、ユーザは、通信データ生成を意識する必要がない。
  • 並列線形ソルバのサポートをしている。GeoFEMでは、並列処理のための局所データ構造に基づき、線形ソルバで集中的に並列処理を取り扱う。それゆえ、GeoFEMのプラグインによる解析プログラムの並列化では、並列化作業はユーザには見えない。
  • 並列データ入力のサポートをしている。分散メッシュデータ,コントロールデータの入力は自動的に行われる。
  • 並列データ出力のサポートをしている。並列計算機上で可視化器へ解析結果を渡すことが可能である。
このように、GeoFEMを用いれば、解析モジュールのプラグインにより、並列計算に関わる作業をすることなく、GeoFEMのプラットフォームで準備されている並列機能サービスが利用できるようになり、プラグイン後直ちに並列計算が可能となる。


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