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6.おわりに

 光量子科学研究における大規模シミュレーションの現状と将来展望についていくつかの観点から議論を行った。大規模シミュレーションを行うためには、スカラ超並列計算機に適したプログラミングを心掛けるべきである。特に現在、立ち後れてると思われることは、同期、非同期やノード間の関係を記述するプログラム設計書がないことである。並列プログラムの簡単な設計書ができてその使い方に熟知すれば、ベクトル計算機のときと同程度の閾値で、並列計算ができるように思われる。また、光量子科学研究のような発見探査的側面の強い研究では、スカラ超並列計算機から出力される大規模データのマネージメントも極めて重要であり、このシステム化の出来が物理考察における効率を決定することになる。つまり、どんなに速く計算が終わってもこのシステム化が十分でなければ、実効的に遅い計算をしたことになり、出力されたデータは人目に触れぬまま廃棄される=研究に使われないことを指摘した。最後に、本当の興味深い発見は多くの分野の境界複合領域から生み出されている事実に注目し、IT技術を有効に使うことにより地理的知識的に制約されない専門家や異分野の多くの人たちが関わる新しいタイプの研究を模索していく必要があることを指摘した。最後に、本研究を進めるにあたり光量子科学研究センター長をはじめとするセンター各員、計算科学技術推進センターのITBL利用推進室、情報システム管理課関西駐在の運用支援要員各位の協力に感謝いたします。

 参考文献

[1] G. A. Mourou, C. P. J. Barty, and D. Perry, Phys. Today 51, N1, 22 (1998).
[2] T. Tajima, Computational Plasma Physics With Applications to Fusion and Astropysics,Addision-Wesley , (1989)

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