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5.知識創造支援環境上のアプリケーション(2)−GUMYS−

5.1 GUMYSの概要

     本章では、JAIST知識科学研究科棟において、知識創造支援環境のインフラを利用して、構築中の実験ソフトGush My Spot(GUMYS)[3,4] について概説する。
    図5.1-1 GUMYS構想図  GUMYSのシステムは、JAISTという環境が持つ、個人に内在している知、個人のPCに蓄積されているデジタル知、フィールドワーク等で集めた各種の知について、収集、整理を行い、共有、伝達を促進し、特定コミュニティ内の知識創造を支援する。(図5.1-1参照)位置検出等の構内インフラを活用する出会い支援システムでは、コミュニケーションに至るきっかけや、グループ内部またはグループ間における出会いを支援し、インタラクションを促進する。さらにPDAによる情報共有支援システムによって、実際のコミュニケーションをサポートし、JAIST内に在籍する研究者の持つ個人の知識の共有、知識創造に向けた活動を支援する。野外発想支援システムは知識取得範囲を広げ、外で得た知識についても、GUMYSのシステム内で利用し、他の知識との融合により新たな知識を発見する手段である。

5.2 出会い支援のシステム[3]

     本サブシステムは、利用者の位置情報と、あらかじめ登録されたグループの情報を利用して、利用者間でのコミュニケーションをサポートする。
    1. 利用者
       ユーザーはそれぞれいくつかのグループに登録し、このシステムを利用する。この場合のグループとは、クラブ活動やワーキンググループといった特定の目的をもつグループや、まったくの主たる目的を持たないグループも登録の対象とする。
    2. EIRISの利用
       利用者の位置情報をJAIST研究棟の地図にマッピングすることにより、視覚的にユーザーに対象者の現在位置を開示する。位置検出の仕組みを取り込む為にEIRISを利用している。赤外線のバッチをつけた利用者の位置情報が変化すると、JAIST知識科学研究科棟のMAPに反映され、グループ情報と共に検出可能なシステムとして設計した。
    3. 出会い支援の機能
       出会い支援の機能として、同一グループに属する利用者が複数人数集まっているときには、同じグループに属する別のスペースにいる利用者ともコミュニケーションが取れるシステムを実装した。これは、同一グループに属するユーザーに対し、予定されたミーティング以外の時間における出会いを支援し、コミュニケーションを促進する。
       位置情報を取得し、なんらかの会合が行われていることを知らせるだけでなく、研究棟の内部に配置されたPDPを利用して、相互のコミュニケーションが可能である。PDPは、研究棟の廊下、リフレッシュルームなど、主たる目的を持たないスペースにも配備されている。
       この機能によって、研究室における個人のスペースと、通常インフォーマルなコミュニケーションが行われている廊下やリフレッシュルームの両スペースを結ぶことを目指しており、現在は実験的なシステムを運営中である。

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