本節では3.2.節で述べた会員機関の保有データ特性、現用システムの状況および課題から、今後のストレージソリューションへの期待について考察する。
8つのデータマネジメントカテゴリごとの課題調査においては、表3-4に示されているように、「(4)データアクセス管理」が最重要課題との認識は全ての参加機関で一致している。また、より特徴的な傾向は、「(1)データプロテクション」と「(2)アーカイブ・HSM」にあると言える。「(1)データプロテクション」を実現する手段として代表的なものにバックアップ・リストアがあり、これらの仕組みは階層型ストレージでも使われていることから「(2)アーカイブ・HSM」は「(1)データプロテクション」の要素技術はほぼ同じものと考えられる。このことから、「(1)データプロテクション」と「(2)アーカイブ・HSM」の二つのカテゴリを併せて考えると「(4)データアクセス管理」と同等の重要度と参加機関の全てが認識しているといえる。この3カテゴリをはじめとした8カテゴリの課題へ対応するソリューションが期待されており、本質的なソリューションは複数のカテゴリやその他のシステム要素と複雑に絡んでいるといえる。例えば、「(4)データアクセス管理」で一番目に挙げられている「利用者からの一定のアクセススピードの確保」にしてもファイルシステム、デバイス自体や接続方式・形態等が関わっている。
このように、個々の課題解決方法(ソリューション)とともに、より多くの機能と連携した幅広い概念のソリューションも期待されており、提供側であるベンダもこれに対応し、2章に書かれているようにストレージベンダもソフトウェア・コンテンツベンダとの吸収・合併等を行い、体制を整えてきている。
会員機関の課題指摘からは、ストレージシステム/データ管理者が念頭に置いているマクロな要件は以下の3点と読み取れる。