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3.データマネジメントの現状とストレージソリューションへの期待

3.1.データマネジメントの現状

3.1.4.JAISTにおけるストレージデータ管理の特徴

3.1.4.4.現状および将来的な課題

 2章で定義されたデータマネジメントにおける8カテゴリに従って、JAISTストレージシステムに対する現状の課題および将来的な課題を優先度の高いものから順に述べる。
●現状の課題
@(2)アーカイブ・HSM

    学内情報環境の大部分のストレージサービスを中央に集約するモデルを採用するJAISTにおいては、非常に大きなディスク領域をコストエフェクティブな形で提供することが必要不可欠である。こうしたサービスを実現するためには、取り扱うデータの目的に応じて適切な容量・性能・信頼性を確保可能なディスク空間を提供するHSM的ストレージサービスを実現できることが望ましい。図3-5に示す構成は、目的別のディスク領域を提供する状態に過ぎないが、ポリシーに基づくデータ移動の半自動化やそれに伴う透過的なアクセスが可能な構成が実現できれば、ユーザはディスク領域の性能や信頼性、ステージングを意識せずにストレージサービスを利用することが可能となる。
A(4)データアクセス管理
    ストレージサービスを中央に集約することにより、学内ネットワーク経由でどのクライアントからもデータにアクセスすることが可能な環境においては、性能および可用性を確保するためのマルチパス制御が必要不可欠である。また一方で、成績データに代表される個人情報や特許関連の機密情報の保護についても、アクセス管理技術やストレージ管理技術、暗号化技術を組み合わせて実現することが要求される。さらに、データを利用するクライアント端末が多様化している現状では、異なる種類のクライアントであっても同様のオペレーションでデータにアクセス可能であることが望ましい。
B(5)デバイス管理
    本項ではJAISTにおける統合ストレージサービスの例を挙げたが、実際にはこの他にも導入時期や利用目的が異なるマルチベンダによる複数のストレージシステムが稼動している。管理者側としての立場では、これら全体の運用管理をいかに効率的に行うかについても大きな課題となっている。また、上記統合ストレージシステムについては更新時期がせまっており、サービスへの影響を最小限にしながらデータの移行を行うための方法を今後検討していく必要がある。これらのことから、ストレージシステムのハードウェア的な管理のフレームワークを提供するデバイス管理技術への期待は非常に大きい。なお、データの移行にあたっては、膨大なデータ量をいかに移行するかという問題もさることながら、ファイルサーバ室の容積や電源・冷房設備などといった物理的な制約も大きな問題となることに留意が必要である。
C(1)データプロテクション
    近年のディスク容量の急速な拡大により、バックアップ領域が従来のテープからディスクに変更されつつある。これにより、バックアップの速度や利便性は向上したが、一方で電源・冷房等の設備面の要件は大きなものとなっている。また、バックアップシステムに要求される信頼性はサービス領域と比較すると低いものとなるが、バックアップデータが必要な時に確実にリストアが可能でなければならない。このため、省電力・省スペースかつ一定の信頼性を持つバックアップシステムの実現に向けた研究開発が期待されるところである。また、ユーザのホーム領域をサービスするシステムの運用局面においては、フルリストアよりもユーザがロストしたファイルをサルベージする機会が多くみられることから、こうした管理作業の負荷を軽減する機能も有用であろう。

●将来的な課題
@(6)データレプリケーション

    近年のクライアント端末のストレージ容量の増加に伴い、個々人が持つユーザデータは日々増大している。一方で、ユビキタス環境の進展により(オフラインを含む)あらゆる場所から多様なクライアントで情報が共有される状況も間近に迫ってきている。これらのことから、今後のストレージシステムには、ファイルサーバで閉じた機能だけでなく、OSやミドルウェアとの連携を通じてデータのレプリケーションやメタデータ、インデックス、バージョン管理等による付加価値を考慮に入れることが重要になるのではないだろうか。また、これらの付加価値を提供するための強力な機能をじっくり開発するアプローチだけでなく、基礎的なAPIを組み合わせて、システム管理者のレベルで、状況にあわせてデータに対する付加価値をつけるための枠組みを容易に設定できることが望ましい。
A(7)ファイルシステム/(8)その他
    多様なクライアント端末からデータを取り扱う状況においては、オープン(かつセキュア)なファイルシステムが必要不可欠であり、ストレージベンダ、ネットワークベンダ、OSベンダ等の垣根を超えた取り組みをさらに推し進めてもらいたい。また一般に、暗号化されたデータは、機器の更新におけるデータの移行やセキュリティのチェックなどが困難になる。こうした問題についても社会的コンセンサスを得ながら、管理と保護のバランスをとった解決策が求められていると言えよう。

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