News Letter「名古屋大学学内LANの高速化について」(3/6)

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3. NICEIIIのネットワーク構成
 
3.1 バックボーン
基幹となるバックボーンは11台のスイッチングルータ(Catalyst6509)を10Gbps(10Gbit Ethernet)で接続して構成する。 これまでのATMネットワークのバックボーンは622Mbps(一部は156Mbps)であることから、数字の上では15倍の速度になるはずである。
バックボーンルータは、主要キャンパスである東山地区に9台設置するほか、鶴舞、大幸キャンパスにも各1台設置する。 鶴舞←→東山、大幸←→東山については平成7年に敷設した自営線を利用して東山キャンパス内と同様に10Gbpsで接続する。 なお、豊川キャンパスについては従来どおり、回線を借用しATMで接続する。 東山キャンパス内のバックボーンルータの配置については、これまでの部局LAN(FDDIループ)の構成にしたがって設計した。
NICEIIのATMバックボーンはATM交換機間を多重結合していたが、NICEIIIのバックボーンは完全なスター型である。 そこで、可用性を高めるために各バックボーンルータは電源の二重化を行った。 さらに基幹部分の中央と工学部Aについてはルータを二重化し、各バックボーンルータ間の接続を二重化した。 なお、このバックアップ接続は1Gbpsで接続する。
 
3.2 建物間ネットワーク
全学で127棟の建物にギガビット通信が可能な光回線を敷設し、サブネット単位にギガビットルータ(SR5400)を設置した。 なお、サブネットの一部となっている小規模な建物にはギガビット対応HUB(Catalyst3524)のみを設置した。
一方、端末数が多い一部の建物についてはバックボーンルータと同じCatalyst6509を設置し、10Gbpsでバックボーンルータに接続することにした。 この10Gbit対応スイッチは、本来ならばすべての建物に設置できればよかったのだが、ルータの価格が高い、ルータの設置スペースが確保できないといった理由で5箇所だけの導入となった。 それでも、ルータの本体が1ドア冷蔵庫程度の大きさがあるため設置場所の確保には苦労した。 現在大学は大学院重点化により大学院生の定員が増加し、ますますスペースが足りない状態になっている。 当然各建物にはノード室など通信機器を収容するための専用の部屋などあるわけもない。 各部局で設置場所を検討した結果、計測装置室、印刷室など空調設備のない部屋にも設置することになった。
 
3.3 端末接続環境
建物内にはギガビット対応HUB(Catalyst3548,3524)を設置し、ルータとの間を1Gbpsで接続した。 ルータ(SR5400)はギガビットインタフェースが最大4ポートしか収容できないため、HUBの台数が多い建物には中継用のスイッチ(Catalyst4908)を設置した。 新しいHUBには新規に設置した情報コンセントの他に、従来のイエローケーブルやNICEIIで設置したHUBも収容し、これまでのネットワーク環境をそのまま維持することにした。
情報コンセントは今回新たに4000箇所に設置した。 情報コンセントの設置場所については、各部局に設置可能な概数を示して希望調査を実施した。 この調査では2000年12月7日に各部局の関係者を一同に集めて各建屋の平面図を渡し、10日間で調査結果を図面に書き込んだものを提出してもらうという非常識なものであったが、驚いたことに全部局の回答が期限内に集まった。
イエローケーブルについては、敷設から10年以上経過しており、最近ではトランシーバの経年変化による劣化が原因でネットワーク障害が多発している。 そのため、今回のネットワーク更新に併せてイエローケーブルも撤去したいと考えていた。 しかし、今回設置する4000個にNICEIIで設置した2000個の情報コンセントを加えても15000台を越える端末のすべてを収容することはできない。 そのため、ほとんどの建物でイエローケーブルを継続して利用することになってしまった。
 

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