News Letter「ドメイン名と紛争処理の現状」(7/17)

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ICANNから認定された紛争処理機関が4つほどあると前述したが、具体的にはここに挙げた4機関のことである。

"WIPO"が一番最初に1999年12月1日にトップバッタ−として紛争処理機関に認定された。 その後全てアメリカの機関と思われるが"NAF"、そして年が明けて2000年に"eRes"、最後に"CPR"。 これら4つの裁定を下すことのできる認定紛争処理機関というものが動いている。 なぜ4つなのか、1つで充分ではないか、とも思われるが、ICANNとしては「紛争処理に関しても競争を持ち込む」と主張している。 当然ビジネスにおける競争とは異なるが、結果として価格が異なるという結果が出てきている。 また、サ−ビスの質にも影響するであろう。 単一機関で、訴える側に選択権がないというのは好ましくないとの判断で現状4機関存在している。 今後の機関数増加については、ICANNとしてはこれ以上よほどのことが無い限り積極的に増やしていかないと言っている。

昨年の11月までは".com", ".net", ".org"というのはアルファベットだけの世界だったのが、昨年の11月に"日本語.com"という日本語を使ったドメイン名の登録も開始されている。 日本語だけでなく、他言語ドメイン名ということで色んな国の言葉が登録できる様になっているのだが、それらについてもやはり4つの機関が取り扱うということになっている。

"日本語.com"に関しては既に何件か申し立てで裁定が出ている。 一番最初に下されたのが、"三共.COM"。 これは中国のサイバースクワッターに先取りされ、その後、三共(株)の方で漢字の"三共.COM"をWIPOに申し立て、それについては三共(株)の勝訴で移転裁定が下されているかと思われる。 "三共.COM"の場合には中国人(と思われる)と日本人の争いということで、場合によってはまだたくさん"日本語.com"に関して、サイバースクワッティングされているということもマスコミ等で報道されており、日本人同士の争いも充分あり得る。 争いと言う形でまだ顕在化してないのだが、WIPOとしても日本人同士の場合には日本語で裁定を出すということで、1件だけ日本語での裁定も出ている。 ただしWIPOのパネリストという人たちが裁定を下す形になるのだが、なかなか英語以外の言葉で裁定を下せる人数が限られているという現状もあり、やはり申し立ては英語で出さなければいけないという現状にまだ変わりは無い。 今、他言語ドメイン名がどんどん広がっているので、この辺りについては、また今後展開していくかと思われるが、マンパワ−的にはどこの紛争機関も英語以外の紛争処理に関しては まだ手薄であるというのが現状である。
 

©Copyright 2001 by Toshihiro Tsubo

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