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9.おわりに

     昆虫を規範とするロボットの開発について述べた。まだ、この種の研究は、始まったばかりで、ロボット研究として、有意義なものかどうかの評価も定まっていないが、これまでは、人間の頭脳のような知能をもたせるロボット開発ばかりであったが、本稿で述べたような新しい試みが、停滞している感のある人工知能とロボットの融合研究に対して、ブレイクスルーのキッカケになることを望んでいる。
     また、節足動物としての仲間である蜘蛛やザリガニについても、歩容解析などを行っているところで、その成果を多足(8脚、10脚)歩行ロボットの開発に役立てようとしている。8脚ロボットは、海底や火星などの探索に利用されようとしているが、どのような歩き方が最適なのかは、蜘蛛の歩容からヒントを得られようし、前進ばかりでなく、後進するときの歩容はどうするべきかに関しては、ザリガニが参考になると考えている。また、水生昆虫(アメンボ)の移動についても詳細な観測を行っておりロボット開発へ進めようとしている。節足動物の移動行為には、何らかの意味で、彼等の移動に関する最適化の原理が現れていると思われて、ロボティクスにおいて興味ある問題が隠れているような気がする。生物に学ぶというのは、ロボット開発の基本なので、今後もここで述べたような方針を進めてゆきたい。

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