2000年以降LMS (Learning Management System) が徐々に発展し、そこに蓄積された学習データを用いた学習分析 (Learning Analytics) が行われるようになってきた。これは学習データを教授者自らが分析したり、分析結果を学生にフィードバックすることにより教育の高度化をはかるものである。ここで使われるデータは、LMS上の活動を記録したもの、またそれを評価したものであり、学生のクリックや入力を基本単位としている。
一方、加速度、脈拍、脳波など様々な観点から学習者の状態を測るセンサーが利用しやすくなってきて、前記のLMSなどと比べるとはるかに細かな単位の測定データ(生体データ、行動データ)を入手できるようになった。これらは学習者の状態を、いわば低水準で測るものであり、それらが学習活動にどのように影響するかというところから関係を知る必要がある。しかし、仮にそれが得られたとしたらこれまでよりもはるかに解像度の高い学習分析ができるようになるだろう。
本WGでは現在利用可能な各種センサーについて調査し、それらを使って先行研究をおこなっている研究者と連携することで、これらの生体データや行動データの学習分析への応用を展望するものである。ここでの結果から科研費プロジェクトを立ち上げられることを期待している。
WG前半では、各種センターについて既製品を調査、さらにこの分野での先行研究を踏まえて、既製品でないセンサーについても利用の概要を調査する。優れた先行研究の実施者をWG会合に招くなどして、その活動の現状や将来展望を調査する。
WG後半では、推進委員を中心に実際にデータを取得するところからはじめ、研究開発計画をまとめる。
本WGの検討をもとに、生体データ、行動データの利活用、学習分析への応用が広がり、さらに科研費プロジェクトなどを成立させ、研究を推進させられると期待している。