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8 まとめ

 本報告で用いたアプリケーションは、並列化の難易度について次の2 つに大別できる。

1. 自動並列化により高い並列化効率が得られるもの
2. MPI を用いた手動並列化により高い並列化効率が得られるもの
自動並列化で高い並列化効率を得るためには、ループ内に相互依存が全く無い場合のように、自動並列化が容易なプログラム構造である必要がある。その場合、手動による並列化よりも、MPI などの通信サブルーチンを呼ばなくて済むため、自動並列化の方が高い並列化効率が得られる。一方、自動並列化により処理速度が向上しない場合でも、MPI やMultiThread などの通信ライブラリを用いて並列化することにより、高い並列化効率を得ることができる。このとき、ベクトル向きのプログラムでも、ベクトル型計算機による実行とほぼ同等の性能が得られ、ベクトル型計算機に向かないプログラムの場合では、16CPUのシステムで10 倍程度の速度が得られることが分かった。
 SMP 型の並列計算機は、従来のエンドユーザ向けのワークステーションと極めて高い親和性を保ちつつ、高い処理性能が得られるシステムとして、非常に有意義であると言える。

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