[目次] [次ページ] [質疑応答]

京都大学大型計算機センターにおけるLAPACKの移植について

  1. はじめに
  2. LAPACK移植の方針について
  3. BLASのベクトルチューニング
  4. LAPACKルーチンでの評価
  5. LAPACKルーチンに対する最適化の影響とその対処
  6. まとめ
  7. 参考文献
京都大学大型計算機センター
浅岡香枝(写真), 平野彰雄
{asaoka, hirano}@kudpc.kyoto-u.ac.jp
京都大学大型計算機センター
金澤正憲
bwv147@mbox.kudpc.kyoto-u.ac.jp
京都大学大学院情報学研究科
岡部寿男
okabe@kuis.kyoto-u.ac.jp


(1/7)
1.はじめに

 LAPACK(Linear Algebra PACKage)は線形代数の数値計算のためのライブラリである。そのソースプログラムは豊富なドキュメントとともにnetlib[9]で公開されているので、研究室や個人でワークステーションやパーソナルコンピュータなどに移植され、利用されている。これまで京都大学大型計算機センター(以下、本センターと略す)では数値計算ライブラリとしてSSLII[6]を提供してきたが、プログラムの可搬性を考えると、本センターでもLAPACKを利用できることが重要と考え、スーパーコンピュータに移植を行った。
 今回、移植したのは、本センターに導入されているベクトル並列計算機Fujitsu VPP500/15およびFujitsu VX/2である。移植作業は、LAPACKを早期に公開することが重要であるとの観点から、まず、1997年11月に初版を公開し、さらに、段階的にベクトルチューニングを進め、1998年5月に、基本的なチューニングを終えた。また、これらのチューニングの成果として、チューニング後のソースプログラムを作業リストと共に、1998年6月から本センターのホームページ[10]で公開している。
 本稿では、まず、移植に際して施したベクトルチューニング手法を明らかにし、その効果について実測データを基に議論する。さらに、コンパイラの最適化機能がLAPACKの演算結果におよぼす影響とその対策についてコーディング事例を上げて紹介する。


[目次] [次ページ] [質疑応答]