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5. 新スケジューラの有効性検証

 スケジューラの有効性を検証するために、平成10年10月5日(月)〜10月11日(日)の7日間にわたり、それぞれ0時から23時までの24回データを採取した。この時の運用PE台数は、jq01用162台、jq02用4台、合計166台である。

5.1 PE利用状況

 1週間のPE利用状況を図8に示す。細線で描かれている折れ線グラフは使用可能PE台数(運用PE台数から故障等のために使用できないPE台数を除いた数)を、太線で描かれている折れ線グラフは使用PE台数を示している。

図8 PEの利用状況

 各日の平均使用台数は、jq01では最低が 145.1台、最高が 158.1台で、平均稼働率は93.5%であった。またjq02では、運用台数4台をフル稼働していた日が3日あり、平均PE利用台数は、最低が 0.3台、最高が 4.0台で、平均稼働率は76.0%であった。平日はPEの高効率利用が実現できたが、土曜から月曜の午前中くらいまでは休日の影響から実行待ちジョブの不足が目立った。特に、日曜日には、jq01の平均稼働台数が 146.7、jq02の稼働台数が 0.3と、ともに利用率が低かった。jq01では、小規模ジョブは優先的に処理されるため、投入ジョブがなくなるとどうしても中規模以上のジョブばかりになる傾向があり、PEが遊ぶことが多かった。また、jq02では18:00頃にジョブが投入されるまで実行待ちジョブが0であった。

5.2 考察結果

  紙面の都合上、詳細データは示さないが、数値風洞の稼働記録から以下の事柄が得られた。

 @ システムのPE利用率は極めて高く、新スケジューラの第一目標であるPEの有効利用は達成されている。しかし、休日等により投入ジョブ数が少ない場合にはjq02用の1GBPEが空くことがあるため、PE利用率を更に向上させようとするならば、jq02用PEの有効利用を図る必要がある。   
 A 優先度別の実行待ちリクエスト数から、キュー遷移パラメータの設定が適切であったことを確認した。しかし、このパラメータはシステムの混雑度とも関係があるため、最優先リクエストキューのリクエスト数が極端に増大しないように常に監視が必要である。   
 B PEリザーブは長時間待ちのリクエストを優先的に処理するために有効な機能であるが、他のリクエストの実行を大幅に阻害し、PE利用率の大幅低下の要因となる場合もあり得る。しかし、現状では、パラメータ設定も適切であり、他リクエストへの影響も少なく、PE利用率の低下もない。   
 C 数値風洞ではCPU制限値以内で処理できないプログラムを実行するためにリクエストの逐次実行機能を組み込んでいる。しかし、実行待ちリクエスト中の先行リクエスト待ちリクエストの割合が多いために、後続のリクエストは待つことなしに順次処理される可能性が高い。このようなジョブの割合が極端に増加した場合には、同一ユーザの長時間PE独占を抑止するためのCPU打ち切り値の効果が期待できなくなる。そのため、リクエストの逐次実行機能使用リクエストの優先度の設定方法を工夫し、必要以上に優先処理されないようにする必要がある。   


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