News Letter「ドメイン名と紛争処理の現状」(16/17)

  目次   |   先頭   |   前へ   |   次へ  

 
 
ドメイン名と知的財産権、あるいは商標との紛争から離れて、ここではalternate roots(対抗ルートと記述したが、まだ日本語訳が定着・固定されていないため、代替ルートという文字で訳されたり、いくつかあるが、ここでは、alternate rootsという言葉を使用する。)について説明する。 全く異なる次元でドメイン名が紛争状態になっているというものである。

(ここで先に次スライドの図を参照)

今何故alternate rootsが出てきたかというと、ICANNの方針に反対、独自のトップレベルドメインのビジネスを展開していく、というものである。

何が問題かと言うと、インターネットドメイン名空間が分断されてしまう。 同じトップレベルドメイン名が出てくると、それぞれのトップレベルドメインに登録するユーザが別々に存在するわけで、例えば"fujitsu.biz"というものをICANNの管理下で登録し、富士通でないところがNew.netの登録で"fujitsu.biz"というものを登録してしまう。 そうすると例えば富士通のお客様が"www.fujitsu.biz"にアクセスしようとしたら、個々の環境に応じて、あるユーザはこちらのwebサイト、あるユーザはこちらのwebサイトということで、別のwebサイトにアクセスしてしまう危険性が出てきてしまう。 同様にメールアドレスも全く同様で、自分が送ったはずのところに届かないという問題も起きてくる。

現在ICANNのチェアマンであるVinton G. Cerf曰く、「トップレベルのサイバースクワッティングである」いう話をしている。 これは、今まだ日本では一部のみ日経産業新聞とか月刊ASCIIに取り上げられているが、まだそれほど危機が迫った状況ではないが、このNew.netが日本にも進出してくるらしいということでJPNICはじめとしてドメイン名空間の一意性を守っていかなくてはいけないと思っている関係者にとっては、この問題をどう解決していこうかと非常に頭を悩ましている状況である。
 

©Copyright 2001 by Toshihiro Tsubo

  目次   |   先頭   |   前へ   |   次へ  
 
All Rights Reserved, Copyright© サイエンティフィック・システム研究会 2001