[目次][前ページ][次ページ][OHP][質疑応答]
(1/7)

1.はじめに

 日本原子力研究所(以下原研)には、富士通を初めとする、IBM、インテル、NEC、日立等、世界有数のスーパーコンピュータが運用されており、一部特殊計算専用機を含め、その数は、各地区(東海、那珂、中目黒、寝屋川)合わせて13システムに上る。
 これらシステムは、東海地区にVPP500/42、AP3000/24、GS8400/20(平成11年8月よりGS8300/10Nへ移行)、Monte-4(平成10年度で運用終了)の4システム、那珂地区にParagon/256、SP2/4の2システム、中目黒地区にVPP300/16、SX-4/2Cx3、T94/4、SR2201/64、SP2/48の5システム、寝屋川地区にVPP300/12、Paragon/834の2システムと、各地区に分散配置されている。各システムは、主に、東海地区では計算科学や基礎基盤、安全性研究の分野で、那珂地区は核融合研究分野、中目黒地区は計算科学(並列処理研究)分野、寝屋川地区は光量子研究分野に利用されている。システム全体では、計算科学分野で約32%、光量子約30%、核融合約27%、基礎基盤約9%のCPU時間使用率となっており、年間約4,700,000CPU時間の利用がある(平成10年度実績)。
 原研計算科学技術推進センター情報システム管理課では、これら各種のスーパーコンピュータの効率的な運用とコンピュータ資源の有効利用を促進するため、ユーザの利用が多く、計算機資源をより多く必要とする原子力コードを、ユーザに代わってスーパーコンピュータ上に整備し、それぞれのコードに最適な高速化を施す作業を実施している。
 これら高速化作業は年間十数件ほど行っており、個々のコードに合わせた機種選定を含め、解析規模の拡大や高速化のための計算アルゴリズムの見直しをも視野に入れた、ベクトル化及び並列化チューニングを実施し、ユーザに提供している。これらのチューニングにより、コードやその計算規模によって様々ではあるが、数倍から数十倍の高速化が実現されている。
 本報は、このうち東海地区のVPP500を中心とした、高速化作業への取り組みについての現状報告である。高速化作業体制とここ数年の成果の概要を中心にプログラミングの具体例を交えて紹介する。


[目次][前ページ][次ページ][OHP][質疑応答]