サーバの仮想化(VM:Virtual Machine)技術は、OSと同じ様にメインフレームで培われてきた。IAの世界では目新しく見えても、既に実績のある技術を使って実現している。これまでは、ハードベンダが作ってきたVMもIAの世界では、OSと同じようにOpen Sourceの波が押し寄せている。ここでは、メインフレームで作られた基本機能の仕組みを解説し、IAの世界で台頭してきたOpen SourceのVMであるXenについて特にI/O系を中心にどう適用しているか解説する。更に、既に一般化しているストレージの仮想化との関係を示す。最後に、仮想化を適用しても、データセンタを管理する上ではこれまでと同じようにリソースを統合管理することが必要であることを説く。
メインフレームでは、複数のプログラムを動作させる環境を作るためにOSが生まれ、仮想メモリ管理と特権モードの概念が生まれた。
当初はソフトウェアで実現していたこれらの概念も、高速化のためにハードウェアでアシストする機能が発達した。
高価なハードウェアを有効利用するために、一つのハードウェア上で複数のOSを動作させるためにVMの概念ができた。これは、一つのOSをアプリケーションとして動作させるOSを作ることから始め、これをハイパーバイザと呼んだ。
ハードウェアもハイパーバイザとOSの二種類の特権モードとメモリ管理を動かすためのアシスト機能を発展させた。
VMは次の三種に分類され、特長を活かして利用されている。
- 物理パーティション型
ハードウェアで筐体を分割してそれぞれ独立したOSを運用する。
- ハイパーバイザ型
ハイパーバイザでVMを作り上げ、そのゲスト毎に独立したOSを運用する。
- ホスティング型
一つのOS上で独立したゲスト(コンテナ)を作り、その上でアプリ(サービス)を運用する。
障害隔離性は1.>2.>3.の順で高く、柔軟性は3.>2.>1.の順で高い。
XenはOpen Sourceのハイパーバイザ型のVMである。 富士通ではストレージ機構の特長を活かすための開発をコミュニティの中で主導的に実施中。今後、I/O系のハードアシストが予定されている。
サーバ以外のネットワークやストレージも仮想化が進んでおり、実環境で進んでいるリソース管理を始めとした運用管理は、総ての仮想化環境を含めたセンタの統合管理が必要で、標準化も進められている。