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マルチベンダー環境の運用事例 −理化学研究所を例として−



  1. はじめに
  2. スーパーコンピュータ・システム
  3. ネットワーク
  4. まとめ

プレゼンテーション資料
(ご参考:用語説明)
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理化学研究所 情報基盤センター

姫野 龍太郎・重谷 隆之・鶴岡 信彦


[キーワード]
マルチベンダー、運用、責任体制、切り分け、大規模システム


1. はじめに

理化学研究所(理研)の情報基盤センターの役割は一般の計算機センターと同じで、理研全体にネットワークと共同利用計算機のサービスを提供している。共同利用計算機として、最大のものはスーパーコンピュータのシステムである。今回のマルチベンダー環境の運用事例としては、このスーパーコンピュータ・システムとネットワークシステムの二つの事例を紹介する。

2. スーパーコンピュータ・システム

理研の研究分野の広がりとユーザーニーズの変化からスーパーコンピュータは一種類の大きなシステムで構成することは効率的ではない。このことから、大きく分けて三社(富士通、NEC、IBM)の製品を集めたシステム構成になっている。それぞれ、富士通:PCクラスタ、NEC:ベクトル並列機、IBM:HPSS(アーカイブシステム)である。この他、細かく見るとたくさんの会社の製品で構成されている。
マルチベンダーでの運用の問題は、システム障害時の原因の特定が困難で、対応に関する責任の所在があいまいになるところにある。この対策として、プライムを設定して、システム運用の全体を把握、対応体制(特に障害時)の明確化、責任の所在の明確化を依頼している。しかし、プライムだけでは解決できない問題もあり、定期的なミーティングを開催している。このミーティングでは、全ベンダーが出席し、積み残した障害・対応状況の確認、問題の共有化を図っている。担当部分だけでは見えない部分を共有することで、システム運用全体の中で可能な問題解決手段を選択可能となる。理研では月に1回(約2、3時間)開催している。
利用者にはシステム毎にコマンドオプションが違うことや、実行モジュールが異なることの不便をなくすために、システム側で吸収している。

3. ネットワーク

ネットワーク機器はベンダーによりそれぞれ独自の仕様で通信している部分があるので、混成するとトラブルが多発した。現在、理研では6つの支所それぞれは単一ベンダーの製品に統一したが、理研全体としてはマルチベンダーとなっている。同一支所内で複数のインテグレータと契約したことがあり、これは苦労が多い。基本的な問題は契約範囲外への無関心が原因で、インテグレータ間の連携が必要となる。これについての誠意を期待してはいけない。独自の監視網、監視機構を持つ必要がある。

4. まとめ

マルチベンダー環境は機器最適化のため、必然であり、避けて通れない。このため、全体として責任を持つプライム設定が必要となるが、これだけでは万全ではない。解決への熱意を関係者全員が持つことが最も重要である。競合関係にある場合、議論が困難なこともあるが、ユーザーサービスを優先し、我々の場合、問題解決のために特殊仕様となる開発も依頼している。



    




ご参考:
本プレゼンテーション資料内の用語説明
  • マルチベンダ : 複数のベンダーの商品を使っていること
  • マルチインテグレータ : それら複数のベンダーを束ねて責任を持っている会社

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