- VisTraceとは
VisTraceは計算機上で実行されているシミュレーションの持つメモリーデータに外から勝手にアクセスして時々刻々変化しつつあるデータをクライアント側の画面に表示するお手軽利用可能なソフトウェアです.シミュレーションを行うサーバは並列計算機も含めて意識する必要はないですし,部分的に欲しいデータだけを切り出すこともできるので,「シミュレーションデータのリアルタイムな虫眼鏡」と副題をつけました.アイデアを出してソフトウェア開発をお願いしたのが講演者,実際にソフトウェアを組んでくれたのが計算科学技術センターのメンバー,クライアント側の可視化ソフトウェアとの組み合わせのインターフェイス作成をしたのが東洋大の田村さんです.議論はみなで行いつつ開発を進めました.
- VisTrace開発の動機
VisTraceを思いついたきっかけは2年前のSS研総会での京都大学の安岡先生によるWebTrace実演デモがあります.WebTrace自体,私の思っていたことのほとんどをすでに実現したソフトウェアであり,やろうとしていたことのほとんどはすでにWebTraceにおいて実現されていました.ただ,実際に使おうとするといろんな制約があり,目的は同じですが,中身としては全く異なるソフトウェアとなりました.
- VisTraceの仕組み
13番目のスライドに詳細がありますが, VisTraceの仕組みを紹介します.シミュレーションプログラムはサーバー上で勝手に走っているものとします.プログラムには何も手を入れる必要はありません.利用者はサーバー上でVistraceをスタートさせます.並列機の場合はマスターノード上ということになります.次に,利用者はVistraceとリンクされた可視化ソフトウェア(単に,通常使っている可視化ソフトウェアにVistraceとデータのやりとりをするためのインターフェイスを設定するだけ)を立ち上げ,クライアント側にある物体の幾何形状などを表示させます.後はクライアント可視化ソフトウェアのインターフェイスの作り方次第で,自動的にある間隔でサーバメモリ上のデータを見に行くとか,コマンドを打ったときに見に行くとか好きに出来ます.どの部分のデータをとってくるかを指定するウィンドーを用意ししておけば,とってくるデータの中身や大きさも指定できます.
- VisTraceの公開
これも18ページのスライドで説明していますが,Vistraceはこのような形でオープンにしていきたいと思っています.単独で出しても使ってもらえないと思いますので,まずは例題としてクライアント可視化ソフトウェアと一体のものを提供します.出来るだけ早くSS研ユーティに登録し,まずはPOST君および(AVSを所有しているユーザには)AVSをクライアント側可視化ソフトウェアとして使ったバージョンをロードモジュールで提供して,使い勝手とか利用感覚を知ってもらいたいと思います.使えると思われたら,連絡いただき希望するクライアント可視化ソフトウェアとのインターフェスの作成に移行したいと考えています.POST君はLINUXもしくはUNIX上で動く可視化ソフトウェアですが,チュートリアルなどもすべて整っているので併せて,オープンにします.まだまだたくさんの課題もあるかと思いますが,一方でもっと斬新な利用方法も出てくるものと期待しています.みなさんで使って頂き,一緒に問題解決をしていきたいと思っています.