News Letter「ドメイン名と紛争処理の現状」(12/17)

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いくつか新聞等を賑わせたものをここに挙げる。

著名人の名前では、少し前に"juliaroberts.com"に、女優のJuliarobertsが申し立てをかけてJuliaroberts側(女優)が裁定では勝訴した。 その後裁判になったようだが、裁判の結果は聞いていないため不明である。 "sting.com"を持っている人に対して歌手のStingが申し立てをかけたが、結果はSting(歌手) が負けた。 "sting.com"を登録している人はStingに対して悪意を持って登録したわけで無く、自分で使うために登録していた。 尚且つ、Stingというのは有名な歌手の名前ではあるが、ディクショナリーワードでstingという単語があるので、サイバースクワッティングではないとの判断で、登録者側が勝った事例である。 "madonna.com"は、明らかにサイバースクワッティングと判断され、Madonnaが裁定で移転裁定を勝ち取っている。

日本企業の関係しているところでは、文芸春秋が申し立てをした"bungeishunju.com"や"bunshun.com"は、文芸春秋が勝っている。 "gemeb0y.com"これは任天堂が申し立てをしているものだが、よく見ると、"b0y"の"o"(オー)が"0"(ゼロ)になっている。 申し立てをする条件というところで 「ドメイン名が一致または類似」と前述したが、ドメイン名の類似性というのは非常に難しく、商標の侵害の場合には、類似というのは見た目で結構判断できるところがあるのだが、ドメイン名の場合には1文字違えば違うドメイン名として使えるので何が類似かという判断が非常に難しい。 ここで"gameb0y"は実は類似という判断になっており、任天堂が当然のことながら勝訴している。 次に、"canoncopymachines.com"。 アメリカのキャノンコピーマシンを扱っているところが登録していたドメイン名で、これ以外に"canonus.com"等4つくらいキャノンの名前を使ったドメイン名が登録されており, アメリカのキャノンが異議申し立てをした。 4つのうち3つに関しては明らかに"canonus"等の文字列が含まれており、キャノンの社名を侵害、条件紛争処理の判断基準から見ると不正な登録ということになり、キャノンUSが移転裁定を勝ち取ったが、"canoncopymachines.com"に関しては実際登録している側がキャノンコピーマシンを売っているところなので侵害ではない、これに関してはキャノン側に移転されずに登録者が勝ったという事例である。 最後の"jal.com"というドメイン名を登録していた人に対して日本航空が申し立てをかけた事例である。 持っていた人のイニシャルがjalという個人だったため、JALが敗訴。 決してJALに対して悪意を持って登録したわけではなく、あくまでも自分(個人)の名前ということで、正当な登録だったため、ドメイン名登録者側が勝った。 ただ現在既に日本航空の名前になっているので、その後何らかの取引があってJALで買い取ったのではないかと思われる。

ここまでがICANN uDRPの説明である。
 

©Copyright 2001 by Toshihiro Tsubo

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