News Letter「ドメイン名と紛争処理の現状」(13/17)

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ICANN uDRPが動き始めてからの各国の対応として、ICANN uDRPをそのまま採用した国もいくつかある。 ICANN uDRPを採用しなかったドイツなどはDRPは作らず、すべて裁判の不正競争防止法で対応するということで、何らアクションを起こしていない。 また一方でICANN uDRPを自分の国の法律等々に合わせてロ−カライズするという動きをとっているところがいくつかあり、日本もそのうちの1つである。 ICANN uDRPをそのままでは難しいというところが何ヶ所かあり、それを日本の法律あるいは習慣・慣習に合わせてローカライズしたものがJP-DRP(JP-Dispute Resolution Policy : JPドメイン名紛争処理方針)と称しているものである。 これは文字通りJPドメイン名に絡んだ紛争が発生した場合に、この紛争処理方針を使って解決できるというものである。

ICANN uDRPとの一番大きな違いは、申し立ての根拠を「商標その他表示」という表現にしている。 ICANN uDRPで"trademarks or service marks"(商標あるいはサ−ビスマ−ク)と言っているのは、日本でいうと両方とも商標の分類になるので、基本的には商標とドメイン名との抵触を扱う形なる。 日本の場合には商標登録されていない会社名や著名人の名前が、ICANN uDRPの場合には商業的価値のあるものは商標とみなして取り扱うことが出きるようである。 逆に日本国の場合には商標としてしまうと、あくまでも商標法に定める商標ということになってしまい、いくら有名な人の名前であっても適用できなくなってしまう。 そういう意味で実は文言上は、ICANN uDRPと変えているが、ICANN uDRPで取り扱っている程度の広がりが日本でも保てるようにということで「商標その他商標に準じる表示」と言う意味合いで「商標その他表示」にしてある。

JP-DRPを採用する以前はJPドメイン名には移転禁止という原則があった(JP-DRPは昨年10月に採用)。 これはサイバースクワッティングを防止するという目的であったが、JP-DRPの導入と共に移転を自由化した。 移転を禁止していたときに実際にサイバースクワッティングは抑止できたが、本当の目的で移転したいものまでも禁止するという、逆に不便な状況があった。 早く自由化したいという動きはあったが、そのためにはサイバースクワッティングに対抗する別の手段を作らなければ自由化できないということで、移転の自由化を留めていたが、JP-DRPの導入と同時に自由化した。

今年(2001年)の2月から汎用JPドメイン名というものをスタ−トした。 セカンドレベルに文字列が登録できるというものである。 今までのドメイン名(属性型,地域型)には1組織1ドメイン名の原則というものがあった。 これも非常に評判が悪くて1組織複数ドメイン名登録したいという要望があり、既存のドメイン名でそれは崩さず、全く新たな空間を設けて1組織1ドメイン名を無くそうということで始まったのが汎用JPドメイン名である。 こちらは第2レベルに登録できるということ以外に、1人あるいは1社で何個でも登録できる。 そうなるとやはりここでもサイバースクワッティングの心配がでてくるので、汎用JPドメイン名を導入する前にJP-DRPを導入したかったという順番がある。
 

©Copyright 2001 by Toshihiro Tsubo

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