[目次]
「話題提供」 共通テーマ:高速ネットワーク

高速ネットワークを利用したコラボレーション


小山田耕二氏

京都大学大型計算機センター 小山田 耕二
koyamada@kudpc.kyoto-u.ac.jp


     文部科学省が推進するIT-Based Laboratory (ITBL)計画では、グリッドコンピューティング要素技術などの活用により全国に散在するスーパーコンピュータを高速ネットワークで接続し、様々の分野の研究者が協調(コラボレーション)することのできる仮想研究環境の構築が進められている。本話題提供では、ITBLにおけるコラボレーションの実現という観点で、テレイマージョン、リモート可視化、計算結果からのアノテーション生成について述べる。

    テレイマージョン
     テレイマージョンとは、バーチャルリアリティとテレビ会議を融合した新しいテレコミュニケーションのメディアであり、遠隔地にいる人々があたかも同じ部屋にいるかのように自然に対話できることを目指している。テレイマージョン技術を使った仮想会議システムでは、複数サイトに設置された多視点カメラを使って取り込まれた現実のシーンを合成し、テレビ会議システムでは困難であったアイコンコンタクトをとることを可能にしている。更に、数値シミュレーション結果の可視化という視点で考えるとキーワードのひとつは、「計測」であろう。数値シミュレーション結果の可視化により物理現象を理解しようとする研究者は、関連する物理量の計測を実際に行っている場合が多いので、計測器を手にして、物理量を計測する感覚で可視化処理を行いたいと考えるであろう。

    リモート可視化技術
     スーパーコンピュータの能力向上に伴い、10億個程度の格子を使うような大規模シミュレーションが行われている。このようなシミュレーションでは、単一計算ノードで実行されていることは、まずないといってよい。このため、シミュレーション結果を単一のグラフィックスワークステーションで可視化することは困難である。このため、それぞれの計算ノードで部分的な可視化処理を行っておき、そこで生成された幾何データまたは画像データを表示側で統合するというアプローチが有効となる。

    計算結果からのアノテーション生成
     スーパーコンピュータセンターでは、膨大な数のシミュレーション結果が格納されておりセンタースタッフはその物理的な管理に忙殺されることも少なくない。コラボレーションを通じて、過去のシミュレーション結果から何らかの知見を抽出しようとする場合、それらは、うまく整理されていなかればならない。映像コンテンツ等のマルチメディアコンテンツについてはアノテーション(補足情報)を用いた高度利用に関する研究が盛んになってきている。研究成果としては、人間の手によるメタデータ(マルチメディアデータの内容を記述したデータ)を使って、好みのビデオなどを効率よく検索する手法などが提案されている。

    OHP資料(PDF:469KB)

[目次]