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会長挨拶

村上 和彰 (九州大学)

昨日の2つの分科会の夜の会は、大変盛り上がったようで、本日の出席数が当初予想の半数以下ではないかなと思います。(笑)

さて、私は、この合同分科会に連続で出席して6年目になるのですが、今年のように、台風が、しかも2つ揃ってやってきたのは、おそらくこの6年の中では初めてではないかと思います。事務局、もしくは、今回初めて参加された方の中に非常に強力な台風男または台風女がいらっしゃるのかなと思っております。

今回は台風27号、28号の二つの台風が近づいていますが、2つの台風がお互いに1000km以内に接近すると、「藤原の効果」と呼ばれている現象をおこすと言うことを昨日新聞で知りました。この「藤原の効果」というのは、戦前の1921年に当時の中央気象台所長だった藤原先生が命名された効果だということです。

これは、2つの台風がどう動くかを、6つのパターンに類型化したものだそうです。1番目は相寄り型、一方の台風に他方が吸収される。2番目が指向型、一方の台風の周りを他方が反時計回りに回る。3番目が追従型、一方の台風の後ろに他方がくっついて北上する。4番目が時間待ち型、一方の台風が北上して、落ち着いたあとに他方が北上する。5番目が同行型、二つの台風が並行して北上する。6番目が離反型、反発しあって離れていく。

今回の27号、28号が、どのパターンをとるかというのを、どこかで予想しているかと、いろいろ調べたのですが、どこにも出ていないんですよね。知り合いにちょっと聞いてみたら、現在のシミュレーションでは、この2つの台風が接近するようなものがモデル化されていないとのことでした。モデル化されていないので、現在のスパコンを使用したシミュレーションでも、「藤原の効果」のようなことは、シミュレーションできず、進路予想も非常に難しいということでした。

この27号、28号がどのようになるかということもさることながら、計算科学的シミュレーション技術的には、まだやることが一杯あるんだ、この2つの台風のモデル化もこれからの課題だ、ということで、我々のこの分野の重要性、ミッションを再認識した次第でございます。

さて、今回の合同分科会は「ボーダーレス社会のいきかた」という非常に興味のあるテーマでございます。企画していただきました水野様以下、企画委員の皆様、本当にありがとうございます。それから、この悪天候の中、貴重なご講演を頂きます講師の先生方、どうもありがとうございます。非常に楽しみにしております。今回の「ボーダーレス社会のいきかた」は、明日の午前中まで続きますが、そこで何らかの「いきかた」の指針が得られることを期待しております。

大学に身を置く私としましては、昨日の教育環境分科会もそうですし、今日の重田先生のMOOCのお話しが、今非常に関心のあるところでございます。我々は、研究者という立場では、あまり大学ということを意識せずに、いろいろと同じ分野の人間同士、あるいは異なる分野の人間同士がチームを作って研究を進めています。ただ、教育と言うことに関しては、大学人ということを意識していたと思います。

高等教育というのは大学の専売事項でしたし、大学教員がその高等教育をすると言うことでしたけれども、MOOCの時代になってくると、そういう、なんとか大学の誰々というのが、あまり意味を成さなくなってくる。誰でも教育をすることができるような時代になってきている。これは、他の職業に当てはめると、いわゆる文筆家、作家と同じになってきたのかなと思っています。たとえば人気のある村上春樹さんも、「新潮社の村上春樹です」なんてことはおっしゃらないわけでして、私も「九州大学の村上和彰です」という「九州大学の」というのが取れなきゃいけない。要するにそういう冠を付けなくても教育をすることができないといけないような時代になってきたのかな、と思っています。それが、大学というボーダーがなくなった時代の我々の生き方なのかなと考えております。

明日のお昼まで結論を待ちたいのですが、今思っているのは、ボーダーレス時代、我々は、やはり個々人を磨かないといけないというのが一つ、もう一つ重要なのは、やはりコラボレーションなしでは生きていけないということです。人と人とのネットワークをどう築いていくか、どうコラボレーションしていくかというのが、やはりボーダーレス時代の生き方のもう一つの指針かなと思っております。

先ほどの藤原の効果で言いますと、相寄り型、他方が一方に吸収される、そういうことにならないように、同行型、2つの台風が同時に進行するような形で生きていくのが良いのかなと思っています。

勿論、人間と人間とのコラボレーション効果というのは6つの類型、パターンには収まらないと思います。他の生き方もあるかと思いますけれども、いずれにしても、相寄り型だけはちょっと避けたいなと思っております。

本日、そして明日の午前中まで、みなさま、ぜひ、この合同分科会お楽しみ下さい。本日はどうもありがとうございました。

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