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会長挨拶

村上 和彰 (九州大学)

村上会長

おはようございます。SS研恒例、毎年秋のイベント、合同分科会に朝早くからたくさんの皆様にご参加頂きまして誠に有難うございます。心より感謝申し上げます。

さて、この合同分科会、ここ数年は毎年10月にここ神戸にて開催致しております。神戸と言えば、私たちSS研会員にとっては「京」が最初に連想される言葉かと存じます。しかし、今年2012年の神戸と言えば、神戸大医学部が生んだ山中伸弥教授のノーベル医学賞受賞を連想される方が多いのではないでしょうか?ここ神戸も山中教授のノーベル医学賞受賞のニュースに盛り上がっているに違いないかと存じます。誠におめでとうございます。

ところで、日本人のノーベル賞受賞者は今回の山中教授で恐らく19人目になるかと思いますが、現役の国内の大学教授での受賞はお1人目の湯川博士を含めて数少なく、本当に久しぶりではないかと思います。最近では、島津製作所の田中耕一さんが40代で受賞されたと思いますが、いずれにせよ、現役世代で、しかも日本大学の若い教授が受賞されたのは非常に久しぶりではないかと思います。

先日、山中先生が野田首相と会談したときのニュースが流れていました。その時、野田首相は、「山中先生のような大先生でも研究費をとってくるのに非常に苦労されているんだ」と非常に驚いて話していたのが、印象的でした。確か山中先生が研究室をスタートした当初というのは、研究費300万円で学生も3人しかいなかったと言うお話しでした。わが国の国家予算に占める科学研究費は、欧米諸国だけではなくて、OECDの中でも非常に低いということが話題になっていますが、そういうことが、わが国の政界のトップの方々にはあまり認識されていないということに愕然とした次第でございます。これを契機にちょっと下がり気味のわが国の大学、あるいは研究機関の科学研究費が少し上向くのではないかという期待も持ったんですが、まあ、こういうのを「捕らぬ狸の皮算用」というのかもしれません。

「捕らぬ狸の皮算用」は座右の銘にはならないんですけれども、一方、「人間万事塞翁が馬」というのが山中先生の座右の銘らしいです。ご承知の通り、我々の人生における禍というのは何がどう転んで福となるか分からないということでございます。さて、ご承知のとおり、もう一つ神戸のシンボル的な存在のスーパーコンピュータ「京」、これも4年前の事業仕分けの時には、どうなってしまうのか、風前の灯となったわけですが、その後しっかりと稼動しTOP500の世界一を2回にわたって獲得し、これも「スーパーコンピュータ万事塞翁が馬」かというふうに思った次第であります。

まさしく現在、今後の日本のHPCに関するインフラはどうあるべきか、という議論がされております。スパコンは、今後の科学技術を支えていく非常に重要なインフラ、道具でございます。これがどういう風になっていくのか、というのは、我々SS研のメンバーとしても、非常に関心が高いと言いますか、まさしく我々自身が渦中にあるのでございまして、無関心で居られるわけではございません。一方、スーパーコンピュータによって第3の科学、計算科学の世界が広がっているわけですが、もう一つ、第4の科学というのが昨今言われております。それが今回の合同分科会のテーマであります「ビッグデータ」でございます。

この第4の科学と第3の科学をいかに結び付けていくか、そういうことを考えると、さらに将来に向けての展望がいろいろと広がっていく次第でございます。これまでは、ゼロから入力をいれてゼロから計算をし、その結果を解析していたわけです。しかし、これからは、様々な実験データや、ペタバイト、エクサバイトというオーダーのシミュレーション結果を使って、ゼロから計算しなくても過去の計算結果を使って新しい知見を得る、ということも可能になってくるのではないかな、という期待も持っております。第3の科学と第4の科学の融合というのが、我々にとっての、今後の大きな課題かなと考えております。

今回皆様に、このビッグデータという非常にエキサイティングな話題を提供してくださった大石先生をはじめとする合同分科会の企画委員の皆様に心から感謝申し上げます。このあと、大石先生からもっと詳しい今回の趣旨説明があると思いますので、私の挨拶はこの程度にしたいと思います。

この合同分科会が、第3の科学と第4の科学の新しい世界を切り開くための契機になればと期待しております。今回もよろしくお願い致します。

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