神戸大学 松田 卓也
地球温暖化問題は鳩山首相が二酸化炭素の大幅削減を国際社会に約束するなど、大きな政治的問題になっている。地球温暖化の原因は、政治的、マスメディア的には、人類の放出する二酸化炭素であるとする説は既定の事実となっている。この説を正統派とか人為説、内因説とよぶことにする。
しかし、科学的に見て、その説は確立したのであろうか。一部の天文学者、気候学者はそれに対して、懐疑的な立場を表明している。その立場を懐疑派、自然説、外因説とよぶことにする。
自然説の有力なものとして、太陽活動に地球温暖化の原因を求めるものがある。太陽活動が盛んになると、地球が温暖化するというのである。歴史的には、太陽活動が静かであった17世紀あたりに、小氷期とよばれる寒冷な時期があった。20世紀は現代極大期とよばれるほど、太陽活動の盛んな時期であった。このように地球の気候と太陽活動が密接に関連しているとする傍証はたくさんある。
ところで最近の太陽活動は異常に静かなのである。太陽周期23が終わり24が始まろうとしているのに、太陽活動の象徴である黒点が一向に現れないのである。そこで一部の天文学者は、これからは地球温暖化どころか、寒冷化の危機すらあると主張している。
本講演では、地球温暖化の太陽起源説の現状に関して報告する。
地球温暖化、二酸化炭素、懐疑派、太陽起源説、地球寒冷化