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鹿児島大学のe-ラーニングによる基礎学力強化



  1. はじめに
  2. 基礎学力評価を目的としたLMSの開発
  3. 理系の基礎学力評価と繰返し演習の教育効果の実践報告
  4. 鹿児島大学での今後の組織的取り組み
  5. まとめにかえて

概要(PDF版) PDF file[135KB]
プレゼンテーション資料 PDF file[435KB]
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鹿児島大学学術情報基盤センター
鍵山 茂徳(講演者)
青木 謙二


[アブストラクト]
 鹿児島大学では理系の基礎学力低下に対応するために、2年前から「e-ラーニング」を活用した「演習」中心の授業科目の導入を検討してきた。昨年度は、「e-ラーニング」による演習と対面授業とを組み合わせた授業を物理学で試験的に開講しその効果を確かめることができたので報告する。今年度はさらに発展させ、科目も数学、化学、生物学まで広げ、「e-ラーニング」による授業を開講する。その内容についてもあわせて報告する。

[キーワード]
e-ラーニング、基礎学力、演習、物理学、数学


1. はじめに

 最近になってようやく「e-ラーニング」に対する期待が現実の教育目的を達成するための手段として捉えられ始めている。そのひとつが、「学生の基礎学力の低下、入学してくる学生の学力のバラツキの拡大」に対応して教育効果をあげるために「e-ラーニング」を活用できないかというものである。そのような目的で取り組んできた鹿児島大学での実践を報告する。


2. 基礎学力評価を目的としたLMSの開発
 広く利用されているLMSの基本機能は似通ったものになっている。そのなかで、「4択5択」に代表される問題演習の様式が学生の学力を引き上げることにつながるのかとの疑問がある。基本的知識を有しているかどうかのチェックを行なうための目的で利用することは意味があると考えている。「繰返し演習」によって学力が伸びるかとなると疑問を感じざるを得ない。ただ、学生に丸暗記を強いているだけではないのか。

 これを克服していく方法として、数学や物理の演習で、直接数式を入力させ「自動採点」ができるLMSの開発を行なっている。また、「LMSでの一斉評価テスト」をサポートするためにLMSのパフォーマンス向上にも取り組んでいる。



3. 理系の基礎学力評価と繰返し演習の教育効果の実践報告

 昨年、物理の導入教育で対面授業と「LMSによる繰返し演習」を組み合わせて授業を行なった。学期のはじめと終了時に一斉テストを行ない、その成績を比較したところ、全ての単元で約20点(100点満点)向上しているという結果が得られた。また、学期のはじめのテストで入学時までの学習量との相関も調査し、学習量と成績にはっきりとした相関があることも確かめることができた。


4. 鹿児島大学での今後の組織的取り組み

理系の基礎学力を「e-ラーニング」を活用して向上させる取り組みとして、つぎの3つを大学として組織的に取り組んでいる。

  1. 数学、物理でLMSによる問題演習中心の授業科目開設
  2. 高校での未履修、学力不足者を対象としたLMSを使った補習授業の開設
  3. 理系全学生を対象とした数学、物理、化学、生物の基礎学力評価テストの実施
これらの取り組み状況について報告する。


5. まとめにかえて

 以上のような取り組みで、「基礎学力の評価」、「LMSによる繰返し学習による学力向上」の取り組みは一定の成果をあげることができた。しかし、「学力評価」の精度、「繰返し演習による学力向上」の試みはまだ多くの課題が残されている。

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