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ストレージシステム設計・導入にあたってのガイドライン
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中京大学 磯 直行 |
1. はじめに
近年、観測機器等の性能向上により科学技術計算の入力データ量が増大している。また、大学等の教育機関でもマルチメディアデータを教材として取り扱うようになり、やはりそのデータ量が増大している。それに加えて、普段の研究・教育活動の中にWebシステムや電子メール等のデータを取り扱う機会が増え、ユーザの周辺に多種のデータが氾濫している。これまでストレージシステムが取り扱ってきたデータは、使用目的を明確にした上で形式の整った、いわゆる「構造型データ」であったが,最近では種類や大きさについてデータ間の関係が不明確な「非構造型データ」が増えつつある。 2. WG活動 年4回のペースで、会合を開催し、まず、会員機関の研究所・大学におけるデータ特性の分析、および研究開発系の構造型データと非構造型データの整理と検討を行った。その結果として、各業務におけるストレージシステムに求められるソリューションを明らかにしつつある。 3. SubWG活動
前WGである「ストレージを中心としたシステムマネージメントWG」の成果物として得た「ストレージシステムマネージメントポリシー評価ワークシート」を再検討し、より実践的に利用できるような改良を試みた。ワークシートでは、設計段階と運用段階について、それぞれ設定したポリシーのバランスをレーダーチャートで評価していたが、会員機関で運用されている実システムに当てはめてみると、うまく設計・運用されているにも関わらず、バランスが大きく崩れた結果となってしまうことがあった。それは、機関によってストレージ全体、またはシステム全体の設計思想に大きな違いがあり、必ずしもワークシートで設定した各ポリシーのバランスだけでは評価することはできないということがわかった。 4. ガイドライン
「ストレージシステム設計・導入にあたってのガイドライン」は、研究機関や大学等の教育機関でのストレージシステムの導入検討および設計段階において、その仕様を策定する際に検討すべき事項をひとつずつチェックできるように列挙している。4.1 チェックシート チェックシートには、ストレージシステムの設計の際に考慮しなければならない項目を3つのレベルにわけて記載した。まず「ユーザ要件」を大項目として5つの分野を選定した。また、それらをさらに細かく分類し「運用設計」を中項目とした。さらにそれらを具体化した実現手段や実現素材を「設計項目」として小項目に設定した。大項目と中項目の各項目を次に示す。4.2 技術解説 チェックシートの小項目ごとにいくつかの実現手段や実現素材がキーワードとして列挙されているが、技術解説ではキーワード1つにつき、1〜2ページを割いてそれらを詳細に説明している。文章だけなく、図表をふんだんに取り入れてあり、いわば「ストレージシステムの教科書」ともいえる内容とボリュームである。概要説明の後には、関連する製品名や製品技術が示されており、このような具体的な記述はストレージシステムを設計する特に若い管理者にとっては魅力あるものであろう。 5. おわりに
2001年度から始まった「ネットワーク時代の統合ストレージマネージメントWG」、「ストレージを中心としたシステムマネージメントWG」、「データマネジメントを意識したストレージソリューションWG」の一連のストレージ系WGの成果の一つとして、「ストレージシステム設計・導入にあたってのガイドライン」を紹介した。ストレージシステムが多方面で使われるようになり、これまでのように単に高速,大容量の観点だけでは設計・運用することができないことがガイドラインのチェック項目の多さからよくわかる。ストレージシステムはどちらかと言うと裏方のシステムのように思えるが、技術的にはシステム全体の性能を決定してしまうこともある。本WGの活動を通して、改めてストレージシステムの重要さを再認識した。【用語解説】
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