[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ] [質疑応答]

ジョブカフェ事業と就職支援システムの活用
〜ジョブカフェいわての実践から〜


1.「ジョブカフェ事業」とは

 近年、新聞やテレビで若年層の失業・フリーター・ニート問題が取り上げられており、政府は「若者自立・挑戦戦略会議」を設置し、総合的な人材施策を推進している。「ジョブカフェ事業」とはその人材施策の一つであり、若者の能力向上と就職促進を狙いとして、一連のサービスを提供するワンストップサービスセンター「ジョブカフェ」を、全国46都道府県に設置しているものである。

 「ジョブカフェ」は地域の特性・実情に応じて展開され、カウンセリングサービス、地域企業の人材ニーズ調査に基づいた研修やセミナーなど、様々な企業と若年者のマッチングサービスが行われている。

2.「ジョブカフェいわて」における就職支援システムの概要と実績
 「ジョブカフェいわて」には、カウンセラーや運営者向けの利用者管理などの業務機能、利用者向けの適性診断・eラーニングなどを提供するものとして、就職支援システムが導入されている。システムでは来場者の受付と登録による個人の利用情報、カウンセリング結果の記録、県内企業のニーズ調査の結果など、就職に向けての情報を一元管理している。

 カウンセリングは、初回の来館から就職決定後3ヶ月のフォローまでデータベースを活用して実施され、個々のカウンセリングの履歴や求職活動の履歴などの登録により、利用者の状況を詳細に把握することができる。また、利用者向けのシステムとしては、162の問いに答えると、物事への取り組み姿勢、適性・指向に合っている職種などの診断結果を教えてくれる適性診断や、電子履歴書作成、OAソフトやビジネスマナーのスキルアップや地域産業をよく知るためのeラーニングなどがある。

 「ジョブカフェいわて」の来館者(再来)目的とシステム利用状況を以下に示す。


来館者(再来)目的
 
利用者向け機能利用状況
3.「ジョブカフェいわて」開催セミナーにおけるICT利用

 若者等への支援として、就職支援セミナーと職業能力開発支援セミナーを組み合わせ、受講者一人一人が自分の強みを理解し、即戦力として就業に結びつく知識・スキルの習得が図れるようなセミナーを実施している。その中でも、2週間程度の短期集中で総合力向上を目指した「チャレンジセミナー」は、業種や職種別にテーマを設定し、企業と共同してカリキュラムを企画・開発している。

 「チャレンジセミナー」では、1回10名程度の受講者に対し、チームインタビューやチームプレゼンテーションなどグループ活動を積極的に導入するとともに、そのインフラとして、受講者、企業、スタッフ限定のコミュニティサイトを利用している。受講者の自宅にパソコン、インターネットの環境が整っている事も多く、このサイトは大変有効に活用されている。例えば、お世話になった企業あてにお礼状を受講者が書き、コミュニティサイトで課題提出や講師による添削をしたり、グループ発表の準備で資料をサイト上でやり取りをしたりするなどである。また、ビジネスマナーやコミュニケーション能力など、必要となる知識を事前にeラーニングで学習することで、より効果的なセミナーを実施することが可能となっている。

4.さいごに
 「ジョブカフェ事業」でICTを利用して、ツールとして利用するための体制づくりや利用を支援する人の理解、意識の重要性を改めて強く感じた。特にeラーニングは、「ジョブカフェ」サービスの一環であり、個人のモチベーション次第で利用するものである。その利用率や学習終了率をアップするためには、利用者に対して、いかにタイミングよくその学習の有効性を提示するか、また細やかな進捗管理による声かけを行なうかが重要となる。コミュニケーションツールの利用でも同様のことが言え、先に述べたセミナー受講生の利用と比較すると、明らかにメンターの存在によるところが大きいと思われる。

 現在の「ジョブカフェいわて就職支援システム」には、様々な情報が蓄積されている。今後はその情報をより活用し、利用者の就職やキャリアアップに繋がるための支援ができるような仕組みや機能、体制の構築が期待される。「ジョブカフェ事業」でICTを利用して、ツールとして利用するための体制づくりや利用を支援する人の理解、意識の重要性を改めて強く感じた。特にeラーニングは、「ジョブカフェ」サービスの一環であり、個人のモチベーション次第で利用するものである。その利用率や学習終了率をアップするためには、利用者に対して、いかにタイミングよくその学習の有効性を提示するか、また細やかな進捗管理による声かけを行なうかが重要となる。コミュニケーションツールの利用でも同様のことが言え、先に述べたセミナー受講生の利用と比較すると、明らかにメンターの存在によるところが大きいと思われる。

 現在の「ジョブカフェいわて就職支援システム」には、様々な情報が蓄積されている。今後はその情報をより活用し、利用者の就職やキャリアアップに繋がるための支援ができるような仕組みや機能、体制の構築が期待される。


[目次] [1ページ目] [前ページ] [次ページ] [質疑応答]

All Rights Reserved, Copyrightcサイエンティフィック・システム研究会 2007