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一斉講義の質の向上に向けて 〜受講者の理解度促進における一提案(難易度別コンテンツ提示WG成果報告)






プレゼンテーション資料
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難易度別コンテンツ提示WG*1まとめ役
大阪経済大学
家本 修


[報告概要]

 現在、多くの大学でICT (Information and Communication Technology)を活用した授業支援やe-Learningの導入が計画・実施されている。国立大学の法人化、少子化による受験生の減少、教科「情報」やゆとり教育を受けた学生の入学といった要因がこれらをどんどん後押ししている。さらに教育現場では、このICTを活用して、伝統的な一斉講義(教室での授業)を変革させようというトライアルも始まっている。この伝統的な一斉講義は教育効率/経済性に優れ、多くの大学で導入されているが、受講生が受身の教育となることや、dropout率が高い等の問題がある。同じ入学試験を突破してきたとは言え、高得点で合格した者とギリギリで合格した者との学力差、あるいは前提知識がある者とない者の理解度の差は歴然である。受講者の理解度は様々である。その様々な理解度レベルの受講者に対して講義で使用される教材は果たして共通なもの(一種類)で良いのかというのが本WG活動の出発点であり、それぞれの受講者の理解度レベルに応じた教材を提供することができれば、それがこの問題に対する一つの解となるのではないかと考え、研究活動を行ってきた。

 e-Learningコンテンツ生成WG*2で行った大阪経済大学での実証実験*3では「受講者の授業の理解度レベルに応じた教材画面を選択できるこのシステムは集合一斉教育においての授業支援システムとして有効であると認められる」結果を得ることができた。しかし、少人数の被験者数のため、細部に渡っての十分な分析が行えなかったという課題が残った。

 本WG活動はこの課題に対し、十分な被験者を確保しての授業実験を通じて、その授業の有効性の再確認や細部に渡る分析、受講者と教員の使い勝手の確認、ネットワーク負荷への確認を行った他、受講者の理解度促進策についての様々な視点からのデータ取得も行うことができた。また、本WG活動における授業実験を通じて、本システムに関する学生の関心度の高さと受講者へ学習意欲を高められることを確認することができた。逆に、実験を通じて得られた一番の課題は教材作成の負荷が高く、このままでは実用化はとても難しいであろうということである。以下に今後検討すべき課題を示し、後継WG*4のテーマにつなげていきたいと考える。



[実証実験とその課題]
 実験に必要となる最低限の機能のみ実装したプロトタイプシステムの使用のため、
  • 受講者、教員ともに授業実験の準備を含め、高い負荷となってしまった。
  • 最も教育効果の現われるパターンを実験を通じて検証し、実用に必要な機能仕様を決定する必要がある。
[難易度別教材コンテンツの課題]
  • コンテンツ製作に担当教員に非常に高い負荷がかかったこと。このコンテンツ生成が簡易にできる仕組み作りが必要である。

[実用化に向けての課題]

  • 受講者の理解度の確認と理解を定着させるため、テストコンテンツにも目を向け、理解できなかった箇所を確実に認識させ、理解させることができることが必要。
  • 理解できなかった箇所に対して、受講者のレベルに適応した教材コンテンツを再提示する仕組みが必要。
  • 現在のパッケージ製品としてのLMSには、同期型遠隔授業の機能は実装しているが、授業実験を行ったようなクラスルーム型の授業は実装されていない。教育効果のある機能についても実験とその検証を通じての検討をしていく必要がある。





注釈

*1 難易度別コンテンツ提示WG 2004年5月〜2006年4月まで活動。
  • WG概要他 http://www.ssken.gr.jp/wg/Lom/
  • 成果報告書 http://www.ssken.gr.jp/wg/Lom/report2005.html

  • *2 e-Learning
     コンテンツ生成WG
    2003年5月〜2004年4月まで活動、難易度別コンテンツ提示WGの前身。
  • WG概要他 http://www.ssken.gr.jp/wg/Lom/
  • 成果報告書 http://www.ssken.gr.jp/wg/Lom/report.html

  • *3 実証実験 2004年4月21実施
    (詳細は、e-Learningコンテンツ生成WG成果報告書を参照)


    *4 教育の質の向上 WG 難易度別コンテンツ提示WGの後継、2006年9月〜2008年度まで活動予定。
  • WG概要他 http://www.ssken.gr.jp/wg/Lom/

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