明治大学 情報コミュニケーション学部 和田 悟
授業のツールとして携帯電話を使い出すと教員は自分の授業の見直しを迫られる。携帯電話を使うことにより、学生に授業の内容への注意を喚起することが可能だが、それは、教員が授業のポイントを絞り、明確にすることを前提とするからである。また、携帯電話は、大教室の講義で知識確認の小テストなどをするにも利用可能であるが、アンケート等での経験から、携帯電話向け作問作法を確立することが必要ではないかと思うにいたった。PC向けの知識確認テスト作成の経験も踏まえ、携帯電話向け自習教材を作成するのに必要と思われる点について述べる。
携帯電話、授業改善、教材作成
2.出欠管理 携帯電話の最も単純な利用であり、かつ、大規模授業をかかえる教員の多くにとって導入動機になりうるのは、出欠管理への利用であろう。出欠の手続きは、学生に対しある程度の強制力が働くため授業へ導入しやすいのは確かである。さらに、学生に携帯電話をアンケートなど多様な利用に対して抵抗感を低減させる効果もあるだろう。しかし、学生側には、通信コスト負担に関する懸念や通信トラブルに対する不安がある。こうした不安を軽減する措置を講ずる必要があるようだ。ここで挙げた点については技術的な対処も可能であろうが、本報告の授業では、半期の授業でかかる通信費用の見積を提示したり、出欠状況についての確認の機会を設けたりすることで対処をした。 3.即時アンケート 「情報倫理」で扱う内容には、なかなか多数の面前で意見やコメントを強いることが難しい事柄も含まれる。そこに、教室内でも即座に匿名アンケートが実施可能だという強みを携帯電話が発揮しうると考える。現在ではほとんどの学生が携帯電話をもっているため、パソコンや特殊な装備など必要とせずに一般の教室でも実施可能であるということも大きな利点である。 しかし、携帯電話でのアンケートで、難しいのは、授業の中でどのような事柄を、どのように尋ねるかということである。アンケートの匿名性を利点として活かすということは、うまく実施しないと、学生側の「答えなくてもよい」という態度を助長してしまい回答数が激減してしまいかねないからである。一度、そのような雰囲気ができ上がってしまうと、それ以降のアンケートへの協力を得るのは難しくなってしまうし、また、参加人数が少なければ、アンケートを実施する意義も失われてしまう。どの程度の回答が得られた時点で回収を打ち切り、授業を進めるかの判断が難しいし、回答待ちの間、余計な説明を加えずにじっと待つというのも難しいものだと実感した。 さらに、教えるべき項目が多い授業のときほど、時間に余裕がないので回答を待ちきれない。また、余裕がないと学生のアンケートを踏まえて、説明しなおしたり補足したりする余裕もない。アンケートによって授業中にフィードバックするという重要な意義も失われてしまう。結果として、携帯電話を授業にうまく活かそうと思えば、授業を見直し、ポイントを絞り、十分に時間的な余裕をもった授業プランを立てなければならなくなる。また、参加者を維持するためには、回答が学生にとっても意味があるものでなければならない。うまくやった例を他の教員から聞く限り、結果が学生にとっても興味深い質問、学生に驚きをもたらすような質問がなされている。携帯電話利用にあたっては、発問に関するノウハウの蓄積が重要となる。 選択式の発問の難しさを認識したのを契機に、従来、論述式で回答を求めていたような知識確認や試験も、選択式で問えないか検討を始めた。第一歩としてPC向けの知識確認問題を用意し、期末試験をマークシート方式で実施してみた。まだ、単純な知識確認に留まる問いが多いが、今後、司法試験の択一式試験等の問い方等を参考に設問を練ってゆくとともに、授業のポイントを見直してゆく予定である。 4.自由記述のアンケート 報告者自身が携帯電話に不慣れであること、通信コストの問題が気になることから、授業内で学生に文章を入力させるということに抵抗があり、本報告の授業ではアンケートは、すべて選択式とした。他の教員の実践例を聞くと、質問等も、Webフォームを用意しておけば利用する学生もいるようだ。また、授業終了時によく行われる紙によるコメント収集等も可能であるようだ。ただし、いずれの場合もきちんと教員側からの応答を返すということが重要であると思われる。 5.最後に 携帯電話は有用な教育用ツールとして注目されてきているが、授業に役立てるには教員自身が授業をしっかりと見直さざるを得なくなる。その意味では携帯電話は教員に苦労を強いる道具であるが、授業の改善の契機になる有益な道具であると言えそうだ。 今後、授業内ばかりでなく予復習にとっても携帯電話を有効な道具となしうるが、その際には、表現や分量などについて、携帯電話のメディアの特性等を十分に考慮に入れたものでなければならないだろう。
3.即時アンケート 「情報倫理」で扱う内容には、なかなか多数の面前で意見やコメントを強いることが難しい事柄も含まれる。そこに、教室内でも即座に匿名アンケートが実施可能だという強みを携帯電話が発揮しうると考える。現在ではほとんどの学生が携帯電話をもっているため、パソコンや特殊な装備など必要とせずに一般の教室でも実施可能であるということも大きな利点である。 しかし、携帯電話でのアンケートで、難しいのは、授業の中でどのような事柄を、どのように尋ねるかということである。アンケートの匿名性を利点として活かすということは、うまく実施しないと、学生側の「答えなくてもよい」という態度を助長してしまい回答数が激減してしまいかねないからである。一度、そのような雰囲気ができ上がってしまうと、それ以降のアンケートへの協力を得るのは難しくなってしまうし、また、参加人数が少なければ、アンケートを実施する意義も失われてしまう。どの程度の回答が得られた時点で回収を打ち切り、授業を進めるかの判断が難しいし、回答待ちの間、余計な説明を加えずにじっと待つというのも難しいものだと実感した。 さらに、教えるべき項目が多い授業のときほど、時間に余裕がないので回答を待ちきれない。また、余裕がないと学生のアンケートを踏まえて、説明しなおしたり補足したりする余裕もない。アンケートによって授業中にフィードバックするという重要な意義も失われてしまう。結果として、携帯電話を授業にうまく活かそうと思えば、授業を見直し、ポイントを絞り、十分に時間的な余裕をもった授業プランを立てなければならなくなる。また、参加者を維持するためには、回答が学生にとっても意味があるものでなければならない。うまくやった例を他の教員から聞く限り、結果が学生にとっても興味深い質問、学生に驚きをもたらすような質問がなされている。携帯電話利用にあたっては、発問に関するノウハウの蓄積が重要となる。 選択式の発問の難しさを認識したのを契機に、従来、論述式で回答を求めていたような知識確認や試験も、選択式で問えないか検討を始めた。第一歩としてPC向けの知識確認問題を用意し、期末試験をマークシート方式で実施してみた。まだ、単純な知識確認に留まる問いが多いが、今後、司法試験の択一式試験等の問い方等を参考に設問を練ってゆくとともに、授業のポイントを見直してゆく予定である。 4.自由記述のアンケート 報告者自身が携帯電話に不慣れであること、通信コストの問題が気になることから、授業内で学生に文章を入力させるということに抵抗があり、本報告の授業ではアンケートは、すべて選択式とした。他の教員の実践例を聞くと、質問等も、Webフォームを用意しておけば利用する学生もいるようだ。また、授業終了時によく行われる紙によるコメント収集等も可能であるようだ。ただし、いずれの場合もきちんと教員側からの応答を返すということが重要であると思われる。 5.最後に 携帯電話は有用な教育用ツールとして注目されてきているが、授業に役立てるには教員自身が授業をしっかりと見直さざるを得なくなる。その意味では携帯電話は教員に苦労を強いる道具であるが、授業の改善の契機になる有益な道具であると言えそうだ。 今後、授業内ばかりでなく予復習にとっても携帯電話を有効な道具となしうるが、その際には、表現や分量などについて、携帯電話のメディアの特性等を十分に考慮に入れたものでなければならないだろう。
4.自由記述のアンケート 報告者自身が携帯電話に不慣れであること、通信コストの問題が気になることから、授業内で学生に文章を入力させるということに抵抗があり、本報告の授業ではアンケートは、すべて選択式とした。他の教員の実践例を聞くと、質問等も、Webフォームを用意しておけば利用する学生もいるようだ。また、授業終了時によく行われる紙によるコメント収集等も可能であるようだ。ただし、いずれの場合もきちんと教員側からの応答を返すということが重要であると思われる。 5.最後に 携帯電話は有用な教育用ツールとして注目されてきているが、授業に役立てるには教員自身が授業をしっかりと見直さざるを得なくなる。その意味では携帯電話は教員に苦労を強いる道具であるが、授業の改善の契機になる有益な道具であると言えそうだ。 今後、授業内ばかりでなく予復習にとっても携帯電話を有効な道具となしうるが、その際には、表現や分量などについて、携帯電話のメディアの特性等を十分に考慮に入れたものでなければならないだろう。
5.最後に 携帯電話は有用な教育用ツールとして注目されてきているが、授業に役立てるには教員自身が授業をしっかりと見直さざるを得なくなる。その意味では携帯電話は教員に苦労を強いる道具であるが、授業の改善の契機になる有益な道具であると言えそうだ。 今後、授業内ばかりでなく予復習にとっても携帯電話を有効な道具となしうるが、その際には、表現や分量などについて、携帯電話のメディアの特性等を十分に考慮に入れたものでなければならないだろう。